2015 Fiscal Year Annual Research Report
可変波長中赤外線レーザーによるレーザーレーダーを用いた火山性ガスの遠隔検知の実現
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25800252
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
冨田 孝幸 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (70632975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レーザーセンシング / LIDAR / 遠隔検知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の計画は、『1:レーザー遠隔検知性能の実証』『2:中赤外線光源の開発』『3:ガス選別性能の実証』の3要素で構成していた。 『1:レーザー遠隔検知性能の実証』本研究の最終的な目標は中赤外線レーザーを用いた火山ガスの能動的な遠隔検知である。このため火山噴火現場まで観測システムを迅速に搬送し観測を開始する必要がある。送信系であるレーザー部と受信系である望遠鏡・検出器を台車へ搭載することによって、システムに可搬性能を付加した。装置開発との同時進行であったために送信機や望遠鏡には代替機を使用し、拠点となる信州大学 工学部より約30kmに位置する長野県小川村の『星と緑のロマン館』までシステムを車載で運び込み、遠方にある山体を観測することでレーザー遠隔検知性能を試験した。観測現場は山間にありシステムが実用配備された想定の観測に可能な限り近づけた。貨物用ワゴン車によってシステムを運搬し、1km遠方の山体からの戻り光の検出に成功し、遠隔検知性能・運搬性能は実証された。 『2:中赤外線光源の開発』この要素は昨年度からの繰り越しとなる課題である。昨年度までに、Nd:YAGレーザー、共振器用鏡、光学定盤の調達など開発環境の構築は達成しており、本年度より種光となるレーザーをOPO結晶へ入射させ中赤外線レーザー発振の実験を推進した。レーザー発振は結晶の予備がないことや開発者にとって初の試みであり慎重を要する。これまでに0.5mJのレーザーを入射させているが発振には至っていない。結晶の損傷には至っていないので、今後も開発を継続する計画となっている。 『3:ガス選別性能の実証』光源の開発に遅れがあったために、セラミックヒーターの熱輻射を光源として利用した実験を行った。共焦点光学系を導入し直径1mmの小型の検出器への集光効率を高めて、検出効率を向上させた。これまでにH2Oによる中赤外線の吸収を確認している。
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