2016 Fiscal Year Research-status Report
自然地震データと物理モデルを用いた広い速度レンジでの摩擦特性の推定
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25800253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 亮輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (10455256)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シミュレーション / 東北地方太平洋沖地震 / 前震 / 摩擦 / 動的弱化 / 滑り速度強化 / スロー地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,巨大地震を発生させるプレート境界の物理特性を,摩擦の低速と高速な滑り速度での依存性を実証的に解明することを目的としている.そのために,これまで低速滑りと高速滑りが,プレート境界の同一領域で発生したことが観測された,東北地方太平洋沖地震の震源域において,運動学的な応力変化の見積と,準動力学的,動力学的な滑り過程の再現計算を行ってきた. 今年度は,昨年度行った準動力学的なシミュレーションで得られていた定性的な結果が,どの程度摩擦パラメタ(特に破壊エネルギー)に依存するのかを確認するために,滑り弱化距離Dcという摩擦パラメタについて,より広いパラメタ範囲におけるシミュレーションを追加で行った.また,観測で得られている時系列データとの定量的な比較検討を行い,カギとなるパラメタの洗い出しを行った. また,動力学的シミュレーションで用いる,時空間境界積分方程式法の高速で軽量なアルゴリズムを,高速領域分割法(Fast Domain Partitioning Method, FDPM)として定式化した.従来の境界積分方程式法が時間ステップ数Nに対して計算時間コストがNの3乗(O(N**3))という高負荷な手法で合ったのに対して,FDPMを用いることにより,計算時間コストがNの2乗O(N**2)という次数が一つ小さくなるような大幅な効率化が可能となった.なおメモリコストは,要素数Mが加味されて,従来手法ではO(M**2 N)だったところが,FDPMではO(M**2)となるような,次数の低下も可能となった.さらに,より大規模なモデルが扱えるように大型計算機上に実装した.実装にあたっては,アルゴリズムのメモリアクセスが効率的になるようなチューニングを行った.本結果は,国際誌で発表すると共に,他の成果と合わせて国際学会において招待講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の初期に,1年間の所属の変更があり予定通りエフォートを割くことができず研究期間を延長したが,現在は取りまとめの段階に入っており,概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において,東北沖での事例研究が出来たので,結果を取りまとめて国際誌へ発表する.また,最近発生した他地域の事例を検討する.
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Causes of Carryover |
研究代表者は,初年度において,当時所属していた独立行政法人産業技術総合研究所において担当業務の変更が有った.そのため当初予定通りのエフォートを割くことが出来ず,本年度予定していた論文投稿を次年度に行うこととしたため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度中に論文投稿を完了して,学会での発表を行う予定である.その際の英文校閲費,別刷り印刷費,旅費等として使用する.
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Research Products
(2 results)