2014 Fiscal Year Research-status Report
2流体プラズマを用いた次世代磁気圏シミュレーションモデルの開発
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25800275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深沢 圭一郎 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (50377868)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇宙プラズマ / 2流体プラズマ / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は陽解法による2流体プラズマシミュレーションモデルの開発を昨年度に引き続き行った。2流体プラズマシミュレーションは現在研究で利用しているMHDシミュレーションに比べ、扱う物理変数が多く、また時間を進める時間ステップが短いためシミュレーションを実行すると、計算量が多く計算時間がかかる。そのため開発中のシミュレーションコードを評価するために計算機で走らせる場合には、並列計算機を多く使う必要がある。その際、上記のMHDシミュレーションと比べた性質の違い(データ量、時間ステップ)から、通信時間が大きくなり、並列計算での実効速度劣化が非常に大きくなっていた。この問題に対処するために、新しく計算と並列計算に伴う通信の最適化を行った。今まではMHDシミュレーションで用いていた通信順序性がありプログラミングしやすいモデルだったが、本研究では通信を細分化することで、その順序性を無くし、通信とそれに伴うデータパック・アンパック処理をオーバーラップさせることが可能となり、計算速度劣化を抑えることに成功した。現在はさらに通信スレッドを用いて通信時間自体を隠蔽できる手法を作成している。今後の並列計算機では計算コア数が増えることが想定されており、モデル開発時から通信専用コア向け実装を行うことは非常に重要と考えられる。 また、陰解法について調査を引き続き行った。陰解法では時間変化が大きい問題に対して、計算結果がなまってしまう性質があり、それを回避するためには結局時間ステップを短くするか、変動成分をうまく残すような計算を加える必要があり、結果として陽解法とそれほど計算時間が変わらないことも示唆されていた。このような手法やその高速化は研究として時間がかかる問題であることも分かったので、今後の研究課題としてさらに調査を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションモデルの評価のために必要な開発が26年度は主だった。評価可能な環境、モデルが準備できたので、少し遅れているが、モデルの完成度の確認、プロダクトランに耐えうるかの確認まで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
大規模計算環境でシミュレーションモデルの評価を引き続き行い、その妥当性を検証する。陰解法に関しては扱う物理次第(時空間で大きく変動するなど)で適用が難しい場合があるため、このまま陽解法で開発は進めていく。
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Causes of Carryover |
購入予定サーバが製品のアップデート時期であり、予定の半分程度の性能のサーバを購入したため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の早いうちにアップデートされたサーバを購入し、研究の遂行に積極的に利用していく。
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Research Products
(2 results)