2014 Fiscal Year Research-status Report
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25800277
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
池田 昭大 鹿児島工業高等専門学校, 一般教育科理系, 講師 (90582833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇宙天気 / 電離圏 / 磁気圏 / 大気電場 / Sq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「磁気圏-電離圏-地上での脈動の伝搬解明」であるが、磁気圏現象は電離圏-大気-地上を繋ぐ大規模電流系であるグローバルサーキットに現れる事が報告され[Kleimenova et al., 2009]、本研究で扱う磁気圏現象である脈動(10mHz以下の電磁波動現象)においても、グローバルサーキットとの関連調査が必要となった。グローバルサーキットの変動を表わすのは大気電場変動であり、磁気圏-電離圏-大気-地上という多圏間で磁気圏現象を調査する事が重要であると言える。 平成25年度では主に磁気圏-地上で脈動現象の調査を進めてきたが、平成26年度は新たにグローバルサーキット(大気電場)を含めて議論するため、研究代表者はまず、磁気圏・電離圏現象のうち、日々の地磁気変動に現れるSq変動(静穏時地磁気日変化)とグローバルサーキットの関連を調査した。地上磁場と大気電場の変動を比較解析した結果、両者に現れる変動は、夏場に極大値を示し、冬場に極小値を示した。この事は地上磁場に現れるSqが電離圏の電気伝導度の変化を反映している事から、大気電場も同様に電離圏の電気伝導度を反映していると考えられる。 以上より、電離圏-地上とその間に存在する大気の電場を含めた大規模な電流系が電離圏現象に対応して変動していると考えることができ、Sq変動と大気電場(グローバルサーキット)の変動は本研究によって初めて示された。さらに地上磁場、大気電場に加え、磁気圏、電離圏のデータを含め、脈動現象等、磁気圏現象においての調査を進めて行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では磁気圏-電離圏-地上での脈動の伝搬解明を目標としていたが、グローバルサーキットの変動を示す大気電場にも磁気圏現象が影響する事が近年報告され、本研究もそれに伴って当初の予定から一部変更する事になった。上述のように、平成26年度の調査では、電離圏-地上の間に存在する大気中の大気電場と地上磁場変動を比較することにより、大気電場(グローバルサーキット)にも電離圏現象の影響が現れることが明らかになった。 具体的には、平成26年度の調査では電離圏現象として位置付けられるSq変化(地上磁場に現れる変動)と同様の変動が大気電場変動に現れる事を示すことができた。特にSqとグローバルサーキットの関連や、磁気圏・電離圏現象とグローバルサーキットの変化を低緯度で報告した例は今までに無く、新しい切り口で磁気圏・電離圏現象の調査を開始できたと言える。当初から予定していた磁気圏-電離圏-地上という3領域に加え、電離圏と地上の間に存在する大気も無視できない事を示した。また、様々な磁気圏現象において低緯度への電場の侵入が報告されているが、侵入した電場がさらにその後どのような電流系を形成するか等を明らかにする手がかりになると考えられる。 平成26年度に明らかにする事ができた電離圏現象とグローバルサーキットの関連のみではなく、磁気圏から地上までをつなぐ各領域においての調査を進め、本研究で対象としてきた磁気圏現象である脈動を調査していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の調査によって地上磁場に現れるSq変化が大気電場(グローバルサーキット)にも現れる事が明らかになったが、より信頼できる結果とするため、電離圏電気伝導度と直接比較をし、電離圏現象がグローバルサーキットに現れる事をより確固たるものとする。さらに、Pc5(150-600秒の周期を持つ電磁波動)等、振幅の大きい脈動現象に対して大気電場への影響、すなわちグローバルサーキットへの影響を調査することにより、磁気圏現象が、磁気圏-電離圏-地上、さらに電離圏-地上をつなぐ大気中をどのように伝搬するのかを調査する。大気電場を含めた議論をする事により、電離圏に侵入した電場がその後どのような電流系を形成するか等も明らかになる可能性がある。 当初から研究対象としてきた脈動現象においても、磁気圏から地上まで各領域で同時に捉えて調査するため、静止軌道衛星「きく8号」による磁気圏での磁場変動データ、九州大学が設置しているFM-CWレーダー(電離圏電場観測レーダー)による電離圏電場変動データを用い、さらに気象庁が提供する大気電場、地上磁場データとの比較により、磁気圏-電離圏-大気-地上という領域間にどのような電流系が発達しているのかを明らかにする。 イベント数の少なさや、現象の振幅の小ささが原因で、脈動現象から領域間をつなぐ電流系の調査が困難である場合は、磁気嵐、磁気嵐急始現象(Sudden Commencement)等、振幅の大きい現象を用いた解析を行う。磁気嵐急始現象では、研究代表者によって既に大気電場と地上磁場で同時に変動が現れたケースが数例見つかっており、スムーズに調査を進めて行けると思われる。
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Research Products
(4 results)