2015 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯物質の摩擦実験によるスロー地震の発生機構の解明
Project/Area Number |
25800279
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平内 健一 静岡大学, 理学部, 講師 (10633290)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スロー地震 / 沈み込み帯 / スティック・スリップ / 岩塩 / 断層ガウジ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大型二軸摩擦試験機を用いた岩塩ガウジのスティック・スリップ実験を行い、沈み込み帯における深部スロー地震の発生機構について考察した。実験は室温・室潤下で行い、法線応力を10-120 MPaまで段階的に変化させた。その結果、岩塩ガウジの変形様式は、法線応力の増加にしたがって脆性から準脆性へと遷移した。摩擦のすべり速度依存性(a-b)は、脆性・準脆性遷移にともなって速度弱化から速度強化へと変化した。また、スティック・スリップの特徴は、a-b値の増加にしたがって、継続時間が短く応力降下量の大きいすべりから継続時間が長く応力降下量の小さいすべりへと変化した。特に、継続時間の差は約2桁におよび、これは通常の地震と非火山性微動・低周波地震の継続時間の差に類似する。さらに、断層面近傍に設置した歪ゲージから得られた局所剪断応力値から、準脆性領域において剪断破壊の成長長さが増加することが明らかになった。実験後のガウジ試料表面の組織解析から、法線応力の増加にしたがって、カタクラスティックな領域が減少し、代わりに延性・準脆性変形に特徴的な領域がそれぞれ増加することがわかった。最終年度において実施した内容は、追加実験および実験後の全試料の組織解析である。以上の結果は、深部スロー地震が脆性・塑性遷移領域における断層面上の摩擦特性の不均質に起因して発生している可能性を示唆する。
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Research Products
(4 results)