2014 Fiscal Year Annual Research Report
内核外核境界における元素分別から探る地球中心核の化学組成
Project/Area Number |
25800298
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小澤 春香 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋地球生命史研究分野, 技術研究員 (10598832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地球中心核 / 軽元素 / 高圧高温実験 / レーザー加熱式ダイアモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
地球中心核の詳細な化学組成は、地球の形成と進化を理解する上での基本的な情報であるにも関わらず、いまだに明らかになっていない。核の組成を明らかにすることにより、核のダイナミクスの理解促進に加え、核の形成条件(温度、圧力、酸素雰囲気)に制約を与える事が出来る。これは地球形成過程を議論する上で重要な情報である。本研究では、高圧高温実験により、内核外核境界の圧力において鉄-軽元素系の状態図を作成する。状態図から予想される内核外核境界における軽元素の分別から、核の軽元素として地震学的観測を満たせるかどうか議論し、化学組成の解明を目指す。 平成26年度は、130万気圧において鉄-ケイ素系の状態図を作成した。出発物質としてケイ素濃度の異なる鉄ケイ素合金を複数用意し、レーザー加熱式ダイアモンドアンビルセルを用いて融解実験を行った。実験回収試料に対して、集束イオンビーム加工装置を用いて研磨を行い、電解放出型電子線プローブマイクロアナライザー及び電界放出型走査電子顕微鏡による組織観察と組成分析を行った。得られた化学組成をもとに、状態図を作成した。その結果、130万気圧における共融組成のケイ素濃度は2wt%以下であることが明らかになった。前年度の結果と合わせると、共融組成のケイ素濃度には強い負の圧力依存性があることがわかった。ケイ素が外核中の唯一の軽元素であると仮定すると、外核の密度を説明するためには約12wt%のケイ素が含まれている必要がある。その場合、本研究の結果に基づくと、液体よりケイ素に富むCsCl型の鉄ケイ素合金が内核として結晶化する。これは、外核(液体)中の軽元素の量は内核(固体)中のそれよりも多いという地震波観測事実と矛盾するため、ケイ素は核の主要な軽元素ではないことを示唆している。
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Research Products
(3 results)