2013 Fiscal Year Research-status Report
地球はコンドライト的か?-月形成に伴う原始地球のNd安定同位体分別
Project/Area Number |
25800302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
若木 重行 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 技術研究副主任 (50548188)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重元素安定同位体 / 高精度同位体分析 / ネオジム |
Research Abstract |
本課題は、超高精度のNd安定同位体分析法によって地球物質・月試料・コンドライト隕石の系統的な分析を行い、各天体間におけるNd安定同位体分別の程度を定量的に評価する事を目的とする。 本年度は、1. 超高精度のNd安定同位体分析法の開発、および、2. 開発された手法による地球物質のNd安定同位体組成サーベイの開始、3. 月および隕石試料の選定と入手、を行う予定であった。 1. については、研究代表者等が過去に開発したダブルスパイクTIMS法によるNd安定同位体分析法の超高精度化改良を行った。複数同位体同時検出法とピークジャンピング法を組み合わせた手法により、TIMSを用いてNdの同位体比(iNd/144Nd, i = 142, 143, 145, 148, 150)を超高精度(< 10ppm)で分析する事が可能となった。これは、過去の申請者の手法と比較すると、各同位体比について2~8倍程度、分析精度が向上した事を意味する。また同時に、Ndよりも同位体数が少なく単純な系であるSrを用いて、ダブルスパイク法の超高精度化が問題なく行えるかを実証した。 3. については、他研究者からの譲渡および販売業者からの隕石試料購入を行った。これにより、研究代表者がすでに所持していた試料を加えて、コンドライト隕石・エコンドライト隕石・月隕石が、それぞれ19・11・1種類となり、隕石母天体の系統的な分析を行うために十分な種類の試料を準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展しているものと判断できる。本研究の第一段階の目的は、超高精度Nd安定同位体分析法の開発であったが、これについては、既存手法の超高精度化改良がおおむね完成したと考えられる。第二段階である、地球物質のNd安定同位体組成サーベイの開始には至らなかったものの、本段階の主要部分は第二年度に実施予定であったため、大きな遅れではないと判断できる。また、第三段階で実施予定の地球外物質分析に必要な隕石試料は、初年度においておおむね準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の研究計画に従って、研究を遂行して行く。次年度は、第二段階の研究として、超高精度Nd安定同位体分析法を用いて火成岩を主とした地球物質のNd安定同位体組成サーベイを精力的に行い、地殻およびマントルのNd安定同位体組成のキャラクタリゼーションを行う。また、同時に地球表層におけるNd安定同位体分別の様相を明らかにする。また、地球物質からのコンタミネーションを可能な限り防ぎつつ地球外試料の分析を行うため、専用の器具・試薬等の実験環境の整備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、Ndの高精度安定同位体分析法開発に注力したため、当初の計画では年度の最後に開始する予定であった地球試料の分析を、次年度に繰り越した。それに伴い、試料分解に使用するためのテフロン器具や試薬等の使用量が、当初予定を下回った。 次年度は、本年度から繰り越した実験分を含めて、地球試料のNd安定同位体分析を行う予定である。実験予定量は、当初計画と変化しない。従って、本年度未使用であった予算については、次年度予算と合わせて、予定通りテフロン器具や試薬の購入に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)