2014 Fiscal Year Annual Research Report
High-repetitive真空紫外プローブ時間分解光電子分光装置の開発
Project/Area Number |
25810010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渋田 昌弘 慶應義塾大学, 理工学研究科, 講師 (70596684)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 時間分解光電子分光 / 有機分子薄膜 / 電子ダイナミクス / フェムト秒レーザー / 高次高調発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機薄膜における非占有バンドの広がりと、励起電子のダイナミクスを高精度で計測するためには、ポンプ光で励起した電子を、高い運動エネルギーをもつ光電子として検出する必要がある。本研究課題は、真空紫外領域の高次高調波発生装置を開発し、これをプローブ光として用いた時間分解光電子分光を行うことを目標としている。 有機薄膜の時間分解光電子分光では、光源による試料の損傷を避けるため、高調波発生には不利な高繰り返しフェムト秒(fs)パルスレーザーを用いる必要がある。本年度は、計測に十分な高次高調波を発生させるために、基本となるfsレーザーをチャープパルス増幅機構により増幅する光学系を構築した。増幅したパルスをサファイア結晶への集光することで得られる、白色光の発生を高次高調波発生に必要なパルス尖塔出力の目安とし、これを確認した。 増幅後のfsレーザーは非線形結晶光学系により、第3高調波に変換した後、希ガスセルに集光することで第9高調波を得ることが当初の計画である。高い尖塔出力と光電子計測における時間分解能を保持するため、変換した第3高調波を再度パルス圧縮する光学系を新たに構築した。これにより、第3高調波のパルス幅75 fsを達成し、圧縮を行わない場合と比較すると、パルス幅を半分以下とすることができた。この過程において、前年度に測定対象として提案した、フラーレン(C60)単分子膜について、第3高調波による時間分解光電子分光を行ったところ、60 fsで起こる、光誘起電荷分離を直接観測することに成功した。これは、圧縮前のパルスでは観測不可能であった、有機薄膜の電子ダイナミクスに関する新しい知見である。 所属研究機関内における研究室の移転と重なり、当初の計画よりやや遅れたものの、上記に示したような丹念な調整の結果、真空紫外光発生の前段階における光源をより充実させることができた。
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Research Products
(13 results)