2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25810019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
庄子 卓 信州大学, 理学部, 助教 (60581014)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アズレン / フェロセン / 環化付加反応 / ドナー・アクセプターシステム |
Research Abstract |
安定化された有機エレクトロクロミズム系分子の構築を目指し、ドナー・アクセプター型の新規な芳香環集合体の合成と物性評価について検討を行った。 アントラキノジメタンおよびフルオレン骨格を酸化還元的に活性な部分構造とし、さらに酸化還元活性なπ電子系置換基として1-アズレニルおよび2-アズレニルエチニル基を複数個配置した新規なエン-ジインシステムを、パラジウム触媒を用いたアルキニル化反応によりワンポットで合成することに成功した。これらの新規なエン-ジインシステムは電気化学的酸化還元反応により顕著な色調の変化を示し、エレクトロクロミズム分子として機能することを明らかにした(Eur. J. Org. Chem., 2013, 957-964)。 アズレン環の1位、2位、6位にフェロセニルエチニル基の置換した新規なπ電子系化合物を合成し、さらにテトラシアノエチレンとの[2+2]環化付加反応によって、新規なアズレン-フェロセン置換テトラシアノブタジエン(TCBD)をそれぞれ合成した。これらのTCBD誘導体は、サイクリックボルタンメトリー法によりフェロセンに由来する1波の酸化波とTCBDユニットに由来する2波の還元波が観測された (Chem. Eur. J., 2013, 19, 5721-5730.)。 アリールアミン置換した1-エチニルアズレン誘導体とテトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタンとの形式的[2+2]環化付加反応を経て、新規なTCBDおよびジシアノキノジメタン(DCNQ)誘導体を合成した。これらの化合物がUV/Visスペクトルならびに時間依存密度汎関数法(TD-DFT)による計算によって分子内電荷移動吸収(ICT)を示すことを明らかにした。これらの化合物のエレクトロクロミズム挙動を検討した結果、電気化学的還元条件下で顕著な色調の変化を示すことを明らかにした(Eur. J. Org. Chem., 2013, 7785-7799.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は、交付申請書に例として記載したドナー・アクセプター型の芳香環集合体の合成を中心に研究を推進した。これらの分子の合成と吸収スペクトル等の基礎的なスペクトルデータを得られたことは、今後の分子設計を行う上で重要な知見となることから本研究の展開の上で意義深いと考えられる。 本研究は、当初計画よりも若干早めに研究しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、さらにπ電子系が拡張した芳香環集合体分子の合成を行い、各種スペクトル測定、量子化学計算さらに電気化学測定を行い、その物性評価を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有機合成においては反応系から化合物を単離する際にカラムクロマトグラフィーが一般に用いられる。しかしながら複雑な化合物や極性が類似した化合物の単離はしばしば困難が生じる場合が多い。このような問題を解決するため、GPCカラムによる化合物の単離が頻繁に用いられる。本研究で合成する化合物も複雑で極性が類似した化合物を多く取り扱うためにGPCカラムの使用は必須であると考え購入したが、当初、購入を計画していたものよりハイスペックな製品が安価で購入できたため次年度使用額が生じた。 有機合成を研究の主とするため、有機溶媒・試薬そしてクロマト用充填剤などの消耗品の購入に重点的に研究費を用いる。有機溶媒はクロマト用展開溶媒・反応溶媒として、ジクロロメタン、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン等を購入する。またNMR測定用の重溶媒(重クロロホルム、重アセトン、重メタノール)も購入する。試薬は、特に本研究の鍵反応である薗頭反応で使用するトリメチルシリルアセチレンは相当量の使用が見込まれるため、250mL (¥89,500)を購入する。クロマト用充填剤としてシリカゲル・アルミナ・バイオビーズを購入する。ガラス器具は、フラスコ類・クロマト管・還流冷却管等の有機合成実験に必要な器具を購入する。
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[Journal Article] Synthesis of Novel Thiophene-fused 1,1’-Biazulene Derivative by the Reaction of Azuleno[1,2-b]thiophene with N-Iodosuccinimide2013
Author(s)
Taku Shoji,* Erika Shimomura, Yuta Inoue, Mitsuhisa Maruyama, Atsuyo Yamamoto, Kunihide Fujimori, Shunji Ito, Masafumi Yasunami, Noboru Morita
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Journal Title
Heterocycles
Volume: 87
Pages: 303-306
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Synthesis of 1,6’-Bi- and 1,6’:3,6’’-Terazulenes from 1-Pyridyl- and 1,3-Di(pyridyl)azulenes by the Zieglar-Hafner Method2013
Author(s)
Taku Shoji,* Atsuyo Yamamoto, Erika Shimomura, Mitsuhisa Maruyama, Shunji Ito, Tetsuo Okujima, Kozo Toyota and Noboru Morita
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 42
Pages: 638-640
DOI
Peer Reviewed
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