2014 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド環状錯体結晶の動的ナノ空間を利用した機能展開
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25810037
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
三宅 亮介 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 助教 (30509542)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 結晶構造変換 / ペプチド環状錯体 / 結晶ナノ空間 / 金属イオン間相互作用 / 機能制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペプチド金属錯体による構造変換可能な結晶の創製とその機能化を行った。 まず、ペプチド環状錯体のBF4を対アニオンに持つ結晶(BF4塩)が、CO2ガスを吸着することを明らかにした。BF4塩の結晶ナノ空間は、ガス分子よりも狭い部分を持つにも関わらず、結晶骨格を拡張しつつガスを吸着していた。さらに、アミノ基などの官能基との相互作用によって、CO2ガスに高い吸着選択性を示すことも明らかにした。一方、NO3塩では、水分子を包接した結晶構造はBF4塩と同じであるにも関わらず、水分子を取り除くと全く空隙を持たない構造に変化するため、ほとんどCO2ガスを吸着しなかった。 続いて、NO3塩について、構造変換前後のガス吸着挙動を比較するため、水蒸気とガスのそれぞれ別々に導入できる吸着測定装置を新たに作成し検討を行った。NO3塩に、必要最低限の水分子(水蒸気)を加え空間を持つ構造へと変換した後、さらにCO2ガスを逐次導入したところNO3塩の重量増加が観測され、結晶ナノ空間の構造変換により吸着挙動の制御ができることが示唆された。また、これらペプチド環状錯体結晶が示すイオン伝導度の測定を行い、対アニオンを含めてほとんど同じ組成であっても、結晶パッキング構造が異なると伝導度が大きく変化することを明らかにした。以上から、目的とした結晶ナノ空間の構造変換に基づく機能制御の基礎的な知見の獲得に成功した。 また、新規に合成したペプチド架橋配位子により、結晶中に相互作用可能な距離で銀イオンを2次元に集積化することに成功した。銀イオン配列が温度により大きく変化し、金属イオン間の相互作用に基づく特性変換が期待できる結晶モチーフであった。結晶ナノ空間変換に加えて、金属イオン間の相互作用に基づく機能スイッチング創製へ道筋をつけることができた。
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