2013 Fiscal Year Research-status Report
階層制御された多孔性配位高分子ナノ薄膜の構築と物性探索
Project/Area Number |
25810039
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大坪 主弥 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90601005)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 多孔性物質 / 金属有機構造体 / ナノ界面技術 |
Research Abstract |
金属イオンと架橋配位子が自己集積してできる多孔性配位高分子(MOF)を固体表面上に固定化する手法は、多種多様な機能を集積化した新材料として、センサー・触媒等への応用が期待されている物質群である。この観点から、基板上における機能の集積化に適したMOFナノ薄膜の開発は重要であり、1層ごとに構成要素を変えて積層することができれば多様な構造設計を行えるようになる。申請者は、多彩な物性、およびゲスト分子能を有するHofmann型MOFを基盤材料として、一層ごとの薄膜成長の制御に優れるLayer-by-layer法を用いたヘテロ接合型MOFナノ薄膜の作成、およびそれらの電子状態や物性について明らかにすることを目的とする。また、触媒材料への応用に向けたナノ金属材料とMOFナノ薄膜の複合化にも取り組む。 1年目となるH25年度は、これまでに作成に成功した三次元ホフマン型MOFであるFe(pz)[M(CN)4] (M = Pt, Pd, Ni)ナノ薄膜を使用したヘテロ接合型のMOFナノ薄膜の構築に取り組んだ。Layer-by-layer法による逐次的な薄膜の組み上げは確認され、X線回折法による結晶性は確認されたものの、得られた薄膜が目的となるヘテロ構造を有しているのかという決定的な証拠を得るには至っていない。これと並行して新たなMOF薄膜の系として、二次元層 状Hofmann型MOF、Fe(py)2[Pt(CN)4](py: ピリジン)の結晶配向性ナノ薄膜の作成に成功し、このナノ薄膜がバルク状態では見られないゲートオープン型のガス吸着挙動を示すことを初めて明らかにすることに成功した。この結果は近日中に論文誌に報告予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画の一つに掲げていたヘテロ接合型のMOFナノ薄膜の作成については現在のところ、ヘテロ構造の決定的な証拠が得られていないものの、いくつかの候補となるナノ薄膜の作成には成功している。また、二次元層 状Hofmann型MOFナノ薄膜の系においては、バルク状態では観測できない薄膜固有の物性を見出すことに成功し、今後のMOFを基盤材料としたデバイス作成に向けて極めて重要な成果が得られたと考えている。以上のことから科学的に重要な研究の進展があったと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるH26年度はH25年度に達成できなかったヘテロ接合構造の構築を明らかにすることにまず注力し、物質としてのバリエーションを増やすことが第一目標とする。また、もう一つの研究計画である金属ナノ粒子との複合材料の構築についても検討を行う。
|