2015 Fiscal Year Research-status Report
反応場としてのイオン液体―電極界面の構造とダイナミクスの直接観測
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25810044
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
本林 健太 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60609600)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面界面科学 / イオン液体 / 電気二重層 / 電気化学 / 表面増強赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イオン液体|金属電極界面における、Liイオンの溶存状態、及びそのLiの析出溶解過程やイオン液体の分解反応過程への影響について研究を行った。1-butyl-3-methylimidazolium bis(fluorosurfonyl)amideは、Liイオンが溶存するとき、負電位におけるイオン液体の還元分解が抑制されるという特異な性質を持っている。表面増強赤外分光法を用いてこの還元分解過程における電極界面の構造をその場観測したところ、Liイオンが電極の表面を覆うことで、イオン液体カチオンの電極への接近を妨げ、その結果イオン液体の分解が抑制されていることがわかった。さらに電位を印加した際に電極の表面に形成される被膜についても分析を行い、カチオンだけでなくアニオンも分解して被膜に含まれることを明らかにした。安定なLiイオン電池の作製にあたって重要な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
10月に名古屋工業大学に赴任し、研究実施場所を変更した。赴任に伴う研究機材の移設作業が業者とのトラブルにより延期されたこともあり、予定していた実験を完了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
水晶振動子マイクロバランス法などを用いた、Li含有イオン液体の分解により形成する電極の表面被膜のより詳細な構造解析を進める。また、表面増強赤外分光法を用いた、イオン液体中における二酸化炭素還元反応のメカニズム解析を進める。
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Causes of Carryover |
10月に名古屋工業大学に赴任し、研究実施場所を変更した際、研究機材の移設が業者とのトラブルにより延期され、予定していた実験が当該年度中に完了できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
名古屋工業大学における研究体制の拡充のための小額計測機材(電気化学計測器、真空計測器など)、及び実験計画の追加に苫なって必要となるイオン液体関連試薬の購入に使用する。また、成果発表のための旅費としても使用予定である。
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