2013 Fiscal Year Research-status Report
アキラルな分子群をプローブとするNMRキラルセンシングの機構解明と応用
Project/Area Number |
25810055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石原 伸輔 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (30644067)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キラル / ポルフィリン / 核磁気共鳴分光法 / センサー |
Research Abstract |
アミノ酸、DNA、生理活性物質などの生体分子の多くは不斉炭素を有するキラル化合物であり、生体への活性がエナンチオマーの間で異なることが多い。このため、医薬品などの合成過程において、キラリティーおよびキラル純度を決定する為のキラル認識技術は極めて重要である。本研究では、近年我々の研究グループが見出したアキラルなプローブ分子と核磁気共鳴分光法(NMR)のみを用いた新しいキラルセンシングのメカニズムを解明することを第一の目的とする。従来型のアキラルなプローブ分子は、キラルなゲスト分子と1:2の錯体を形成するため、系中にジアステレオマー(S-S, R-S, R-R)が共存することとなり、メカニズムの解釈が困難であった。これを打開するため、キラルなゲスト分子と1:1の錯体を形成するアキラルなホスト分子を設計・合成して、キラルセンシングのメカニズム解明を行った。その結果、ジアステレオマーが存在しえない1:1の錯形成においても、NMRにてキラルセンシングが可能であることが明らかと成った。これは、ジアステレオマー形成に基づいた従来型のNMRキラルセンシングとは全く異なっていることを意味する。滴定実験や計算シュミレーションによる詳細な検討から、キラルセンシングのメカニズムは、キラル分子がホスト分子へ引き起こす磁気異方性効果および、NMRのタイムスケールよりも早い錯体形成の交換過程による磁気異方性効果の平均化であることを明らかとした。この成果は、Nature Communicationsに掲載されるとともに、新聞等でも取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本申請の第一目標に掲げたキラルセンシングの機構解明に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
キラルセンシングの機構解明に成功したことから、プローブ分子の一般化、簡素化、機能化を推進し、応用展開を模索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に購入を予定していた物品を次年度に購入することにした為。また、初年度に参加を予定していた学会を次年度に参加することにした為。 申請内容に従って、適切に使用する。
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Research Products
(2 results)