2013 Fiscal Year Research-status Report
触媒的酸素酸化カップリングを利用したπ共役高分子の合成
Project/Area Number |
25810070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桑原 純平 筑波大学, 数理物質系, 講師 (70466655)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | π共役高分子 / 触媒的酸化カップリング |
Research Abstract |
本研究では、酸素を利用した触媒的酸化カップリングによる重縮合法を開発し、機能性材料となる π 共役高分子を効率的に合成することを目的としている。C-H 結合と C-H 結合間の酸化カップリング反応によって結合形成を行うことで、従来は必須であった有機金属部位やハロゲンを必要としない重縮合反応を達成する。これによって、反応で生じる副生成物が H2O のみとなるため、環境負荷の小さい合成手法となる。さらに、副生成物が少ないことは得られる高分子材料の純度向上にも寄与することが期待できる。本重縮合反応を確立した後に、有機電子デバイスの材料合成に適応することができれば、環境に配慮した手法で高純度材料を提供することが可能になる。 本重縮合反応を確立するために、触媒およびモノマーの分子設計と評価を行う。重縮合反応によって π 共役高分子を得るためには、結合形成反応を効率的に進行させる必要がある。結合形成効率の目標を 95% 以上に設定し、これを可能にする触媒系の探索を行う。将来的な実用性を視野に入れ、1. 貴金属を用いない、2. 強塩基や 3. 高温を必要としない条件において、この目標を達成する。その後に、確立した触媒系を用いて重縮合反応へと展開する。対象となるモノマーは、簡便に合成が可能であり有機電子デバイス材料への展開が可能な骨格を選択する。さらに、得られる高分子の溶解性に留意した設計を行う。設定した高分子を用い、分子量と収率に着目した重合条件の最適化を行う。最適条件を用いて、各種モノマーを用いた検討を行うことで、適応範囲を拡大する。最終的には、モノマー合成にも C-H 結合の直接官能基化反応を利用することを可能にし、合成工程全体の短縮化および環境負荷低減を可能にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結合形成に用いる触媒系および、モノマーの設計と合成手法の確立が行えており、当初の予定通り研究が進行している。また、反応性の高い C-H 結合を機能性分子に導入することが可能となっており、本重縮合反応に用いるモノマーの合成戦略を確立した。また、ここで得られたモノマーの C-H 結合の反応性を評価し、学会および学術論文にて報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発してきた方法論を高分子合成に適応し、高純度な高分子を効率良く得る条件の探索を行う。小分子における結合形成と高分子合成においては、物質の拡散や溶解性の違いによって生じる隔たりがある。これらを埋めるための条件検討を行っていくことで、適応範囲の広い高分子合成の方法論を確立する。さらに、得られた高分子が高い純度を有することを元素分析や微量分析を用いて評価していく。続いて、有機薄膜太陽電池や有機 EL などの目的に合わせた高分子の合成に、本合成手法を用いる。最終的には得られた高分子材料の評価を行うことで、高い純度に由来して高い特性が発現することを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
三月末および四月前半に使用する予定の試薬等の納品が年度内に行われなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、継続して行っている研究の試薬の購入費用として使用する。翌年度分として請求した助成金の使用計画に変更はない。
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Research Products
(3 results)