2014 Fiscal Year Research-status Report
水素結合性光配向性高分子液晶複合体におけるメカノクロミズムの発現と配向制御
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25810079
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
近藤 瑞穂 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70447564)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水素結合 / メカノクロミズム / 機械的刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
メカノクロミック発光(MCL)は圧縮や延伸、磨砕などの機械的刺激の印加によって色素の化学構造や凝集状態が変化して誘起される発光色の可逆的な変化である。本課題では,水素結合などの非共有結合を用いてMCLの発光特性を変調・制御することを目的としている。これまでに我々は分子末端にピリジル基を導入したMCL色素について報告してきた。ピリジル基を導入することで酸やハロゲン化物との複合化が可能となるだけでなく、凝集状態や電子状態を変化できるために多様な発光色も発現できる。本年度は、これまでに磨砕応答性が確認されている色素のアルキル鎖を短縮化し、結晶性を向上させた色素を合成し、結晶状態における凝集状態を解析するとともに、種々の低分子と複合化させ、発光色および磨砕応答性の変化を検討した。合成した化合物粉末は乳鉢で磨砕することにより変色し、融点以上に加熱することにより初期状態に戻った。また,化合物に酸やハロゲンを作用させると,異なる発光色を示した状態で磨砕応答性を維持することがわかった。 続いて液晶相の導入を試みた。MCL色素は、液晶性を導入することで分子の集合状態の緻密な制御が可能となり、高度な色調変化を実現できることがこれまでに報告されている。また、ネマチック相のような低粘性の液晶相を導入すれば凝集状態の変換が容易になり、高感度なMCL材料の実現が期待できる。さらに、液晶は外場によって容易に分子配向を制御できることから、偏光発光や異方的な発光色変化など軸選択的な特性制御の付与も期待できる。そこで分子末端のピリジル基をベンゾニトリルに置換した色素を合成し、液晶性及び磨砕応答性について検討した。また、Click反応を適用し、分子内のアセチレン骨格をトリアゾール環に置換したMCL材料も合成し、磨砕応答性や分子配向性についても評価した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
水素結合だけでなくプロトン化やハロゲン結合などを利用することによってもMCL特性を変調・制御できることは,材料選択を広げる点で非常に有用な発見であった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは固体特性に着目していたが,より多用途に利用できる薄膜への展開を試みる。すでに固体色素を分散した不均一系薄膜では実現しているが,均一系では実現していない。また,磨砕以外の応答にも適応できるよう工夫する予定である
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Causes of Carryover |
予定していた化合物より単純な構造で機能が発現したため,物品費が予定より低くなった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に得られた知見をもとに,材料設計を最適化する
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Research Products
(6 results)