2015 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し構造の蛍光モニタリングによるがん及びアルツハイマー病診断法の開発
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25810090
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
糸山 美紀 福岡大学, 薬学部, 助教 (60549690)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分析化学 / 蛍光分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、アミン性イオンペア試薬を用いた、リン酸基含有化合物の選択的分析法を開発したが、今回、フルオラス(パーフルオロアルキル鎖同士がもつ特異的親和性)と金属キレートアフィニティーとを組み合わせたヌクレオチド類の選択的抽出法の開発を行った。本法の原理はFe(Ⅲ)を配位したperfluoroiminodiacetic acid(PFIDA)試薬を利用してリン酸基含有化合物を選択的に捕捉・抽出することに基づく。今回、アポトーシスを誘導(Anti-Fas抗体投与)させた急性リンパ性白血病細胞株(Juekat細胞)に本抽出法を適用し、ヌクレオチド類の定量・解析を試みた。Anti-Fas抗体を投与したJurkat細胞試料(0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 12及び18時間)に本法を適用したところ、各ヌクレオチド類の定量が可能であった。さらに、定量結果に多変量解析を施したところ、スコアプロット上でアポトーシスの進行度を視覚的に判別することが可能であり、その結果は、フローサイトメトリーによって確認した細胞状態の推移とよく一致していた。今後、本法により確認されるアポトーシスの進行度合いと、がん細胞の状態の相関性を調べ、診断に有用か検討していく必要がある。 一方、アミロイドβのアミノ酸残基をピレン誘導体化し、HPLC分離後に蛍光検出することによって、アミロイドβのアミノ酸残基ごとに同時定量を試みるも、今回は達成できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教育業務の増加、実験を行う学生の減少に伴い実験を行う時間が大幅に減少してしまった。 また、予想していた実験結果を得ることができず、違う側面から、がんの診断に有用な分析法を検討したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度確立した方法により確認できたアポトーシスの進行度合いが、抗がん剤治療や放射線療法等の効果判定や、診断に有用であるか検討を行う。また、近年アポトーシスと神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病等)との関連性にも注目が集まっており、神経内科医師の助言を仰ぎながら、診断が可能か、その妥当性を評価していく。 また、タウタンパク、テロメア等の繰り返し構造のモニタリングも引き続き行っていく。
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Causes of Carryover |
教育業務の増加に伴い、実験に遅れが生じたため、予定していた試薬を購入等をせず、科研費の不使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定している実験を行うための、試薬等の購入に充てる予定である。
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Research Products
(10 results)