2014 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体ポリマーブラシを用いたナノ空間制御による新規機能膜の開発
Project/Area Number |
25810091
|
Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
上條 利夫 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00588337)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 陽極酸化ポーラス膜 / イオン液体 / 膜透過 / ポリマーブラシ / ナノ流路 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究グループでは,イオン液体ポリマーブラシを有する複合微粒子を利用した高イオン伝導性の固体電解質膜を作製した。この膜中では,リチウムイオンの拡散係数がバルクイオン液体中より大きくなる『拡散促進現象』が確認された。この原因としてブラシ鎖末端間で形成されるナノ空間においてリチウムイオンの溶媒クラスター抑制効果に起因するものと考えている。そこで本研究では,イオン液体濃厚ポリマーブラシ末端が創出するナノ空間におけるイオンの拡散促進現象を解明するため,本年度はアルミナ膜の作製した後,イオン液体濃厚ポリマーブラシpoly(DEMM-TFSI)がアルミナ細孔内壁に修飾された複合膜を作製し,その膜を用いた透過実験が可能な透過セルの作製を行った。昨年度確立した陽極酸化アルミナ作製技術を用いて陽極酸化アルミナ基板を作製した後,逆電界剥離,エッチング操作によりこのアルミナ基板を透過膜として利用できる技術を確立した。この作製したアルミナ膜に表面開始リビングラジカル重合(SILRP)によりアルミナ細孔表面を開始点とするDEMM-TFSIのリビングラジカル重合(LRP)を行い,イオン液体濃厚ポリマーブラシpoly(DEMM-TFSI)がアルミナ細孔内壁に修飾された複合膜を作製した。しかし,作製した複合膜のサイズは小さく,これまで自作した透過セルでの使用は困難であった。そこで,作製したアルミナ膜で膜透過測定が行えるよう,また,透過実験におけるイオン液体の消費量を減らすことができるよう,小型の膜透過セルをテフロンを用いて作製した。この透過セルが,透過セルとして機能することをアルミナ膜,イオン液体,色素分子を用いて確認した。最終年度では,複合膜内部のイオン液体濃厚ポリマーブラシ形成の確認を行った後,この透過セルを用いてナノ空間におけるイオンの拡散促進現象の解明を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体濃厚ポリマーブラシ末端が創出するナノ空間におけるイオンの拡散促進現象を解明するための,アルミナ膜の作製技術を確立できた。また,アルミナ細孔内にイオン液体濃厚ポリマーブラシが修飾された複合膜を作製した。拡散挙動現象を確認するための膜透過システムも新たに作製し,透過実験が可能であることも確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
・アルミナ細孔内にイオン液体濃厚ポリマーブラシが修飾された複合膜,膜透過システムを用いてイオン液体濃厚ポリマーブラシ末端が創出するナノ空間におけるイオンの拡散促進現象の解明,またこの現状に基づいた新規機能膜の開発を行う。 ・得られた研究成果の学会発表,論文発表を進めていく。 ・ポーラス膜内部のポリマーブラシ形成(数nm空間形成)が困難であった場合に備え,ポーラス表面で形成されたポリマーブラシ基板としての新規利用方法についても合わせて検討を行う。
|
Causes of Carryover |
高額の消耗品であるイオン液体の購入を他の予算で購入可能であったため,また,来年度に当初の計画以上に学会発表により研究成果報告を行っていくため,本年度は 使用せず来年度に繰り越すことにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初発表予定でなかった学会,研究発表のための出張費へ充てる。
|