2013 Fiscal Year Research-status Report
緑色蛍光タンパク質のクロモフォアを基本骨格に用いたマルチカラー蛍光核酸 の開発
Project/Area Number |
25810094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 功吏 東京工業大学, 情報生命博士教育院, 特任助教 (90633446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 蛍光核酸 / 有機合成 / 蛍光プローブ / RNA / 三重鎖 / 緑色蛍光タンパク質 / GFP |
Research Abstract |
本研究では、緑色蛍光タンパク質由来の蛍光色素に着目し、これらを有する多色の蛍光核酸プローブ開発を目指している。平成25年度では、デオキシウリジンの5位に、緑色蛍光タンパク質由来の蛍光色素である4-(p-hydroxybenzylidene)-5-imidazolinone骨格を導入した蛍光核酸の合成に成功した。つづいて、このもののホスホロアミダイト誘導体の合成を行いオリゴヌクレオチドへ導入し、蛍光核酸プローブを得た。 本研究計画では、申請者のこれまでの研究成果にもとづき、標的核酸の存在下において、蛍光核酸プローブ(probe1)と別途設計したプローブ(probe2)の三者が三重らせんを形成し、蛍光を発することを期待した。そこで、合成した蛍光核酸プローブを用いて、本コンセプトの検証を行なった。その結果、標的核酸の非存在下においてはほぼ無蛍光であったが、標的核酸存在下において、三重らせん形成に伴い、500 nm付近に6倍の蛍光強度の増加が観測された。すなわち、本蛍光核酸プローブを用いて、標的核酸を検出可能であることを明らかにした。これらの成果は、第40回国際核酸化学シンポジウムでのポスター発表にて報告した。 さらに、この蛍光強度を高めるため、標的核酸とprobe1およびprobe2の複合体である三重らせん構造に着目した。蛍光色素を包み込む空間を作るため、probe2に脱塩基部位としてリンカーを導入している。そこで、この空間を最適化するため、このリンカーの長さを種々検討した。その結果、これまでのところ、炭素数5つでつないだ場合にさらに1.5倍の蛍光強度の増大に成功している。 この結果を受け、平成26年度においては当初の計画通り、他の蛍光波長を有する誘導体の合成に着手する。平成25年度において合成方法を確立しており、効率よく他の誘導体を合成できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、疾患に関わる複数の核酸を検出する多色の蛍光核酸プローブの開発を行なっているが、当初の計画通り、初年度にて基本となる蛍光性ヌクレオシドの開発に成功している。さらに、標的核酸の存在下の場合にのみ蛍光シグナルを発する蛍光核酸プローブの開発に成功している。この成果にもとづき、次年度においても当初の計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においても、当初の計画取り研究を進める。平成25年度において、基本となる蛍光核酸の合成に成功しており、この合成法に従って他の誘導体の合成を進める。これらをプローブに導入し、標的核酸存在下における蛍光強度の変化を調べ、プローブの性能を評価する。これら数種類の蛍光核酸プローブの蛍光強度比が十分高ければ、続けて計画通り、細胞抽出液中のRNAの検出を試みる。蛍光強度比に改善の余地があれば、三重鎖複合体の構造にもとづき、再度プローブの分子設計を行ない、蛍光強度の改善を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度では、本研究の基本骨格となる蛍光性ヌクレオシドの合成法の確立のため、有機合成に関わる経費を厚く計上していたが、想定よりも短期間で合成を達成したため、予算に余裕が生じた。また、詳細な合成検討の前に、開発した蛍光性ヌクレオシドをオリゴヌクレオチドプローブに導入し、本研究提案のコンセプトの確認を先んじて行なったため、合成に費やす予算が低くなった。 次年度では、基本となる蛍光性ヌクレオシドの合成法の収率改善に向けた、詳細な合成検討も合わせて行なう。本研究では、多様な蛍光波長を有する複数の蛍光性ヌクレオシド誘導体の開発が必須となるため、次年度繰り越し分と次年度の助成金を合わせ、さらに多種類の蛍光性ヌクレオシドの開発を推進する。その後、本研究の最終目標である多種類の蛍光プローブを用いた、複数の標的核酸の検出を行なう予定である。
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Research Products
(2 results)