2014 Fiscal Year Research-status Report
ペプチドタグを利用した光合成関連タンパク質の集合体形成と機能解析
Project/Area Number |
25810097
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 政晴 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20571219)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 光合成細菌 / 光収穫系 / アンテナ系 / 膜タンパク質 / 色素 / 電極基板 / 光電流計測 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の行なう光合成反応では、光エネルギーで電荷分離反応を行なうコアアンテナ-反応中心膜タンパク質(LH1-RC)と、LH1-RCが反応に使えない短波長域の光エネルギーを集め、LH1-RCの使えるエネルギーレベルに下げてLH1-RCへ伝達する周辺アンテナ膜タンパク質(LH2)が隣接し協同的にはたらくことで、幅広い波長域での光エネルギー変換を実現している。本研究では、光合成生物からLH1-RCとLH2をそれぞれ単離し、その物性評価から得られる知見をもとに、生体高分子を用いた光エネルギー変換素子の構築を目指す。 平成26年度では、紅色光合成細菌Rba.sphaeroidesのLH1, LH2の遺伝子に改変を加え、変異株を作製した。作製した変異株は、LH1-αのN末端、C末端、LH2-αのC末端、LH2-βのN末側にそれぞれヒスチジンタグを導入した。また、LH2-αのC末端、LH2-βのN末側にそれぞれシステインを導入した。変異を加えたLH1, LH2を発現する光合成細菌を培養し、変異LH1-RC, LH2を単離、精製した。 ヒスチジンタグの導入されたLH1-RC, LH2をそれぞれDithiobis(C2-NiNTA)で表面修飾したITO電極、金電極に固定化した。電極上のLH1-RC, LH2と水溶液中のLH1-RC、LH2の吸収スペクトルは、良く一致し電極上でLH1-RC, LH2は変性していないことが明らかになった。また、電極上に固定化したLH1-RCにLH1-RCの最大吸収波長を照射することにより、引き起こされる電子の流れを計測した。観測された電子の流れは、ヒスチジンタグにより分子配向されたLH1-RCの分子配向と一致したため、ヒスチジンタグによりLH1-RCの分子配向が制御可能であることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒスチジンタグを導入したLH1-RC, LH2を基板上に固定化、光電流計測により配向性を確認する段階まで進んでいるので、今後のLH1-RC,LH2の同一基板上への固定化(共存系)を進める足掛かりをつかんでいるため、しかしながら、システインを導入したLH2に関して、基板上への固定化配向制御の確認ができていないため、また、LH1-RC, LH2を隣接させるペプチドタグの導入研究がすすめられず研究はやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度 LH1-RCの光電流計測による配向性を確認する作業を更に進め、LH2と同一基板上に固定化し、共存させる段階まで進める。また、平成25年度で実施して明らかになった光合成細菌のLH1, LH2の生合成許容範囲を参考に、LH1, LH2を隣接させるペプチドタグ(変異アミノ酸)を導入する。
|
Causes of Carryover |
光合成関連タンパク質に導入するペプチドタグを金へ選択的に吸着するペプチドタグへ変更し研究を進めたので、光合成関連タンパク質を基板上へ固定化する段階まで進まなかった。そのため、原子官職顕微鏡を利用した実験・評価まで至らず、実験に使用する消耗品を購入しなかったため、未使用金額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
金に選択的に吸着するペプチドタグを選択したために、原子間力顕微鏡以外の評価法、表面プラズモン共鳴、水晶発振子マイクロバランス法などでも、光合成関連タンパク質の基板上への固定化を評価することが可能になったため、本年度、平成26年度の原子間力顕微鏡の消耗品予算を分け、平成27年度に他の評価を含めて必要な消耗品類を購入する。また、研究方針の変更により参加できなかった学会への参加費・旅費に使用する。
|
Research Products
(7 results)