2013 Fiscal Year Research-status Report
強酸イオン液体ハイブリッドによる次世代エネルギーのブレイクスルー
Project/Area Number |
25810109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
北岡 賢 近畿大学, 工学部, 助教 (50457602)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イオン液体 / グリーンケミストリー / エネルギー効率化 |
Research Abstract |
本研究は、シリカに強酸イオン液体を化学的に固定化した強酸イオン液体-シリカハイブリッドを用い、廃材に含まれるセルロースを原料として、次世代エネルギー(フラン化合物)を生産する手法を開発するものである。当該年度は強酸イオン液体―シリカハイブリッドの開発と、作成したイオン液体-シリカハイブリッドの酸触媒能評価、ならびに各種溶媒中での安定性の評価を行った。シリカ上に強酸イオン液体を固定化する手法としては、物理吸着による手法(物理吸着型)と共有結合を用いた手法(共有結合型)の二種を想定し実験を行った。物理吸着型は、ゾル-ゲル法により調整した。また、共有結合型は表面にアルキルチオールが結合したシリカに段階的にアルキル基末端に二重結合部位を有するイオン液体部を段階的に結語させることで調整した。作成したイオン液体-シリカハイブリッドの酸触媒としての性能を一般的な酢酸エチルの合成から評価した。どちらのタイプの触媒も硫酸を用いた場合と同じ位の性能を示し、酸触媒能が高いことが明らかとなった。また、強酸イオン液体-シリカハイブリッドの各種溶媒に対する安定性を評価した。これはセルロースの次世代エネルギー変換に展開する場合の触媒の回収方法を検討する予備的知見として行ったものである。結果として、共有結合型は各種溶媒に対して安定であるが、物理吸着型は溶媒を加え、加熱すると、強酸イオン液体が一部脱離することがあきらかとなった。共有結合型はセルロースの次世代エネルギー変換に展開しても、高い回収効率、再利用反応が期待できると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は強酸イオン液体―シリカハイブリッドの開発と物性調査を行った。シリカ上に強酸イオン液体を固定化する手法としては、物理吸着による手法と共有結合を用いた結合の二種を想定し実験を行った。結果的に、二種類のイオン液体-シリカハイブリッドともに作成でき、また、酸触媒能も保持していることが明らかとなっている。更には、各種溶媒に対する安定性も明らかとしており、概ね当初の計画通り進行していると考えている。一点だけ、物理吸着型は、溶媒を加え、加熱すると、強酸イオン液体が一部脱離することがわかったのが、不安材料であるが、共有結合型はいかなる溶媒中であっても安定であり、加水分解反応に応用可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度までに強酸イオン液体-シリカハイブリッドを2種類作成しており、その酸触媒能、各種溶媒中での安定性を評価している。今後は強酸イオン液体-シリカハイブリッドをセルロースの次世代エネルギー変換に展開する方針である。具体的には、物理吸着型、共有結合型の両触媒を次世代エネルギー変換反応に応用し、セルロースのフラン化合物への変換に適した触媒構造を絞り込む。また、再利用効率を評価する予定である。更には、紙ごみ、廃材等を原料とした実用性試験に移行する計画である。
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