2013 Fiscal Year Research-status Report
植物細胞壁を模倣したシルク-ペクチンハイドロゲルの創成とサンゴ再生基盤への利用
Project/Area Number |
25810110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
沼田 圭司 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (40584529)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シルク / ペクチン / ゲル |
Research Abstract |
サンゴ再生足場材料として、生体適合性および生分解性に優れた蚕由来のシルクタンパク質を用いて、徐放制御型ドラッグデリバリーシステム(DDS)を構築することでサンゴの再生を目指し、シルクタンパク質を用いたシルクナノ粒子の形成と、そのシルクナノ粒子を含むシルクハイドロゲルの形成により粒子およびゲルからの二段階の徐放を可能にするサンゴ再生足場用DDSの作製を行なった。ハイドロゲルの高強度化を目指して、ペクチンに着目した。ペクチンは果実等の細胞壁に多く含まれている天然多糖類で、植物の基本構造を形成するための重要な成分の一つである。細胞壁内ではエクステンシンと呼ばれるペプチドとの物理架橋により複合体を形成することで強固な細胞壁を構築している。そこで、生体適合性及び生分解性に優れたBombyx mori 由来のシルクタンパク質をポリカチオンとし、ペクチンと相互作用させることで細胞壁を模倣した高強度なシルク由来のヒドロゲル構築を目指した。具体的には、シルクタンパク質を用いて調製したシルクヒドロゲルにペクチンを導入することでシルク-ペクチンネットワークヒドロゲルの形成を行った。その結果、ペクチンとシクルから成るハイドロゲルは、非常に高い圧縮強度と柔軟性を併せ持ち、基盤素材として非常に有望であることが明らかとなった。また、生分解性や生体適合を調べた結果、プロテアーゼもしくはペクチナーゼにより、酵素分解されると共に、動物細胞に対して特段の細胞毒性を示さないことが明らかとなった。以上の結果から、機械的特性、生物学的特性の両面から、シルクーペクチンハイドロゲルは、非常に有望な足場材料であると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要な材料(足場素材)の開発に目処がつき、サンゴ等への応用へ研究を進めることができるため、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
シルクゲルの強度を更に向上させるため、ゲル化初期の微結晶形成過程を解明する。この結果から、微結晶形成を制御した新規シルクゲルもしくは新規シルクペクチンゲルを構築することで、高強度かつ生体適合性、生分解性に優れた足場材料を開発する。適した足場材料が構築された後に、無性生殖によるサンゴの植え継ぎを行い、サンゴの再生効率を評価する。
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Research Products
(3 results)