2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞壁を模倣したシルク-ペクチンハイドロゲルの創成とサンゴ再生基盤への利用
Project/Area Number |
25810110
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
沼田 圭司 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (40584529)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シルク / ゲル / ネットワーク構造 / ベータシート構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
シルクフィブロイン水溶液と貧溶媒であるエタノールを混合すると、疎水性相互作用によりフィブロイン分子鎖が凝集し局部的にβシート構造を形成し結晶化する。これによりフィブロイン分子鎖間で物理架橋を形成し、シルクフィブロイン水溶液はゲル化する。また、シルクフィブロイン水溶液を酸化処理すると、チロシン間で共有結合が形成され、シルクフィブロイン水溶液がゲル化する。本研究では、上記の方法で形成される2種類のネットワークを組み合わせたシルクヒドロゲルを創生する手法を確立した。物理架橋のみ、または化学架橋のみで構成されたシルクゲルに比べ、物理架橋と化学架橋の両方のネットワークを持つシルクゲルは異なる機械的特性を示すことが期待される。本年度は、物理架橋のみで構成されたシルクゲル、物理架橋および化学架橋の2種の架橋で構成されたシルクゲルを作成した。また、2種のシルクゲルの圧縮試験から、それぞれのネットワーク構造を評価した。シルクゲルの圧縮強度を測定した結果、圧縮強度は物理架橋のシルク濃度に依存し、シルク濃度が高くなるにつれて圧縮強度は増加した。シルク濃度が増加するほど物理架橋の架橋密度も増すため、圧縮強度が増大したと考えられる。物理架橋および化学架橋を調製するシルク濃度が比較的高い場合(6.8wt%程度)は、物理架橋のみで構成されたシルクゲルと、物理架橋および化学架橋の2種の架橋で構成されたシルクゲルの応力変化に有意差は見られなかった。しかし、物理架橋のシルク濃度が比較的低い条件(4 wt%程度)では、物理架橋のみで構成されたシルクゲルに比べ2種類の架橋で構成されたシルクゲルの圧縮強度が高くなる傾向が確認された。これらの結果から、物理架橋の濃度に依存して、化学架橋により形成されたネットワークの有効網目としての役割が決まると考えられる。
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Research Products
(9 results)