2014 Fiscal Year Annual Research Report
界面反応活性種の電気化学制御に基づく精密重合反応と機能性有機薄膜材料への展開
Project/Area Number |
25810120
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
大谷 政孝 高知工科大学, 工学部, 助教 (20585004)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電気化学 / 酸化還元 / 表面開始重合 / 有機界面 / 異種界面接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機高分子を基盤とする薄膜材料において、その集積構造の精密な設計・構築はデバイス性能を左右する決定的な要因となる。特に、近年活発に研究開発されている有機材料を用いた機能性薄膜材料においては、界面構造の高密度化と配向を制御する手法の開発が極めて重要である。従来、2種類の高分子を複合化して薄膜化する際には、溶液中で分子間相互作用を利用して複合体を形成し、塗布等で基板上へ固定化する方法がとられてきた。しかしながら、溶液塗布で作成した複合体薄膜の配向はランダムであり、薄膜全体のナノ構造を精密に制御することは難しかった。本研究では、有機薄膜材料における異種接合界面の垂直配向・高密度化・膜厚制御を指向した精密界面重合反応の開発を目的とした。具体的には、電極界面で異なる2つの反応活性種の生成・失活を電気化学的に制御することで、2種類の高分子鎖を同一基板上で均一に生長させ、高分子複合薄膜を得る手法を確立することにある。 本年度は、前年度で確立した表面開始重合反応の知見を元に、2種類の電気化学重合を利用した混合薄膜作成法の確立を目指した。具体的には、電気化学ATRP法で得られるポリマーブラシの空隙を、開始剤の電極表面被覆密度で調整することで、ポリマーブラシの層間を2段階目のチオフェンの電解酸化重合の鋳型反応場として用いた。得られた有機薄膜は、基板上にそれぞれの高分子が高密度かつ垂直配向した相分離構造を有しており、ナノサイズレベルで理想的な異種高分子の接合界面を形成している。また、電気化学反応を利用することで重合の開始・停止を容易に制御することができ、任意の膜厚で高分子複合薄膜を簡便に作成することが可能となった。一連の成果により、電気化学的刺激の切り替えのみで、異なる種類の高分子鎖を簡便かつ機能的に基板上へ配置する新たな手法を見出した。
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