2014 Fiscal Year Research-status Report
繊維化プロセスにおける家蚕絹フィブロイン非繰り返しドメインの役割の解明
Project/Area Number |
25810124
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 悠 福井大学, テニュアトラック推進本部, 講師 (90600263)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液状絹 / NMR / 繊維化プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、絹フィブロインの繊維化プロセスにおける凝集コントロール機構の解明である。本年度は、所属機関を移動し新規研究室立ち上げを行った。そのため、本年度は本研究課題に関する実験設備の構築が主な仕事となった。また、家蚕絹フィブロインからL鎖の単離を行った。繭から得た生糸を精練してセリシンタンパク質を取り除きフィブロインタンパク質のみからなる繊維を得た。それを高濃度チオシアン酸リチウム水溶液に溶解し、水に対して透析してフィブロイン水溶液を得た。フィブロインタンパク質は分子量の大きいH鎖と分子量の小さいL鎖がジスルフィド結合により結合している。そこで還元剤で処理しジスルフィド結合を切断した。H鎖とL鎖が解離したフィブロイン水溶液をクロマトグラフィーを用いて分取し、L鎖の含まれる画分を取得した。遠心ろ過により脱塩、還元剤を除去しL鎖のみを含む水溶液を得た。 次年度は本L鎖タンパク質を用いて、溶液NMR法により会合の検討を進めていく。さらに、H鎖N末端、C末端については、大腸菌の大量発現系の構築と構造解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は所属機関を移動し、研究室の立ち上げに時間を要したため、当初の研究計画で研究を進めることは出来なかった。研究室の立ち上げがある程度済んだため、次年度は研究計画の推進に邁進する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、非繰り返しドメインの解析を中心に行っていく。まず単離したL鎖の立体構造解析と会合状態の検討を行う。次に、H鎖N末端、C末端ドメインの大腸菌大量発現系の構築を行う。大腸菌内での凝集により発現が困難な場合には、むさい棒タンパク質合成を行う。次に、安定同位体ラベルタンパク質の生産と、溶液NMRによる立体構造決定を行う。構築した大腸菌大量発現系を用いて13C, 15N安定同位体ラベルタンパク質を生産する。多次元溶液NMRを用いて各ドメインタンパク質の立体構造決定を行う。具体的には、1H-13C HSQC, 1H-15N HSQC測定により各炭素原子、窒素原子の帰属、HCACO, HNCO測定によりカルボニル炭素、アミド水素の帰属を行う。これらの帰属結果と、1H-1H NOESY, TOCSY測定結果を合わせ、すべての水素原子の帰属を行う。このようにして決定した各原子の化学シフトと水素核間の距離情報から、各タンパク質の立体構造を決定する。
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Causes of Carryover |
所属機関が変わり、研究室の立ち上げに時間を要したため当初の研究計画で研究を進めることが出来ず、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タンパク質の大腸菌大量発現系構築にかかわる未購入物品について、研究の進捗状況を鑑みながら購入する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Structural Transition of Bombyx mori Liquid Silk Studied with Vibrational Circular Dichroism Spectroscopy2015
Author(s)
Morisaku, T., Arai, T., Konno, K., Suzuki, Y., Asakura, T., Yui, H.
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Journal Title
Analytical Sciences
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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