2014 Fiscal Year Annual Research Report
迅速かつ高感度なキラルセンシングを実現する蛍光性高分子材料の開発
Project/Area Number |
25810127
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Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
堺井 亮介 旭川工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90507196)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 共役系ポリマー / キラル / 超分子化学 / ポリジアセチレン / 蛍光分析 / キラルポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、キラリティーの迅速分析を達成する革新的手法を確立するために、蛍光性キラルポリマーの優れたキラル認識能と蛍光特性を活用し、目視による迅速かつ高感度なキラル分析に適用可能な実用的高分子センサー材料の開発を目的とした。 具体的には、多種多様な分子設計を施した「キラル認識部位を有する蛍光性キラルポリマー」を精密合成し、キラル物質に対するポリマーの蛍光変化を詳細に評価した。特にキラル認識能や検出感度に焦点を絞り、得られた結果を分子設計にフィードバックすることで、センサーポリマーの最適構造を探索した。この様な検討を通して、実際に、認識部位としてキラルアミノ基を有するポリジアセチレンが、ジアセチル酒石酸のキラリティーに依存し、異なる色調および蛍光発光を示すことを見出した。当該ポリジアセチレンは、それのみの場合紫色を呈し、蛍光発光は観察されない。しかし、L-ジアセチル酒石酸を加えた場合、ポリジアセチレンの色調は赤色に瞬時に変化し、D体では橙色に変化した。吸収スペクトルを測定したところ、ジアセチル酒石酸のキラリティーに依存し、600 nm付近のポリマー主鎖由来の吸収に明確な差異が確認された。また、ジアセチル酒石酸の添加後、ポリマーは蛍光発光を示し、そのスペクトルはキラリティーに依存して異なった。なお、その蛍光の差は目視でも識別できるものであった。さらに、当該ポリマーはジアセチル酒石酸に加え、マンデル酸や、カンファースルホン酸などの光学活性カルボン酸に対してもキラリティーに依存した色調変化および蛍光発光を示した。 以上の結果は、このポリマーを利用することで、カルボン酸やアミノ酸を含む様々な光学活性化合物のキラリティーを蛍光から目視で識別できることを意味している。従って、本研究では、目的であるキラルセンサー材料に応用可能なポリマーの創製に成功したと言える。
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[Journal Article] Synthesis and chiral recognition of helical poly(phenylacetylene)s bearing L-phenylglycinol and its phenylcarbamates as pendants2015
Author(s)
Zhang, Chunhong; Wang, Hailun; Yang, Taotao; Ma, Rui; Liu, Lijia; Sakai, Ryosuke; Satoh, Toshifumi; Kakuchi, Toyoji; Okamoto, Yoshio
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Journal Title
Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry
Volume: 53
Pages: 809-82
DOI
Peer Reviewed
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