2013 Fiscal Year Research-status Report
液体論に立脚したナノポーラス電極におけるデンドライト抑制の物理機構
Project/Area Number |
25810135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深見 一弘 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60452322)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノポーラス電極 / 電析 / 充電 |
Research Abstract |
ナノポーラス電極の水和特性に着目し、電気化学析出においてみられるデンドライトの抑制に取り組んだ。シリコンを陽極酸化することで作製したナノポーラス電極を用い、亜鉛の電析(充電)を行った。拡散限界を超える高い電流密度においてもナノポーラス電極の孔内で亜鉛が優先的に析出し、ポーラス電極の最表面にはデンドライトの形成は確認できなかった。特に、平滑なシリコン電極において電析に影響を及ぼさない共存する電解質について精力的に検討した。共存するイオンとして、カリウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンを用いて電析挙動を調べたところ、テトラメチルアンモニウムイオンを用いた場合に細孔内での亜鉛析出の効率が飛躍的に高まることを見出した。その結果、約5分程度の間、拡散限界を超える電流密度であってもデンドライトの形成が抑制されることを明らかにした。 一方、ナノ細孔内への金属析出の動的な挙動を把握するために、ナノポーラス電極への白金置換析出について検討した。細孔内に白金錯イオンが浸透する際、測定電位がほぼ一定となるプラトー域が確認された。プラトーの保持時間は細孔内への白金錯イオンの浸透時間に対応している。平均孔径が4 nm、15 nm、30 nmの3つのナノポーラス電極を作製し、白金錯イオンの浸透挙動を調べた。その結果、4 nmの孔径を有するナノポーラス電極で浸透速度の著しい上昇が見られた。この結果について、我々がこれまでに発表してきた細孔内での表面誘起相転移現象をもとに考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属負極を用いた蓄電池を想定し、ナノポーラス電極を用いた亜鉛電析について取り組んできた。共存イオンなどを適切に選択することで添加剤なしでのデンドライトの抑制を既に達成している。また、白金を用いた検討により、ナノ細孔内特有の物質移動の促進を実験的に明らかにしている。これらの成果は現在原著論文として投稿を予定していおり、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
より長時間にわたりデンドライト形成を抑制するためには、ナノ細孔の容量を増大させる必要がある。同じ投影面積を用いて検討する場合、より深いナノ細孔を作製し、それに電析を効率よく行う必要がある。ナノポーラス電極への亜鉛電析について、ナノ細孔の深さ依存性について検討を進める。また、析出した亜鉛の微細構造をTEMで観察し、より充填率を向上させる方法について明らかにする。 共存するイオンが亜鉛析出に及ぼす影響について統計力学手法の一つである分子性流体積分方程式論を用いて解析を行う。また、孔径が小さいナノポーラス電極が物質移動をより促進する機構について、統計力学的観点から検討を進め、より高効率に短時間でデンドライトフリーな亜鉛の析出を可能にすることを目指す。
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Research Products
(15 results)