2014 Fiscal Year Annual Research Report
Ce3+添加ガーネット蛍光体における光誘起電子移動を利用した蓄光特性の発現
Project/Area Number |
25810136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 純平 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (90633181)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 長残光蛍光体 / 蓄光材料 / 電子移動 / 熱ルミネッセンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、Ce3+添加Y3Al5-xGaxO12ガーネット蛍光体を中心に、光電子移動機構の解明と蓄光特性について詳細に調査した。ガーネット結晶のGa濃度xを系統的に変化させたCe3+添加Y3Al5-xGaxO12ガーネット蛍光体を固相法により作製し、その光学特性評価(蛍光・励起スペクトル、残光減衰曲線、熱ルミネッセンス(TL)グロー曲線)を行った。Ga濃度増加によって、結晶場強度が変化しCe3+:5d-4f発光色は黄色から緑色まで変化した。また、これらのガーネット蛍光体において、残光減衰曲線、TLグロー曲線の結果から青色励起による蓄光がGa濃度がx=2.5付近から生じることが分かった。これは、Ga濃度増加により伝導帯エネルギーが減少し、Ce3+の5d励起準位とのエネルギー差が小さくなったため、電子が熱活性化過程を経て伝導帯に移動したためである。また、TLグロー曲線の結果より、ガーネット結晶の内因性欠陥が作る電子トラップ深さは、Ga濃度増加とともに浅くなることが分かった。Ga濃度増加による伝導帯の低エネルギーシフトを考慮すると、真空準位に対する内因性欠陥の電子トラップ準位は一定で、伝導帯が低エネルギー化したことによって、トラップ深さが浅くなったと考察できる。 また、Ce3+添加Y3Al5-xGaxO12ガーネット蛍光体において、新規トラップ準位の導入するために、共添加イオンの最適化の実験を行った。その結果、Crイオンがガーネット結晶において、効果的に電子トラップとして働くことを発見した。Crイオンが作る電子トラップ深さは、Ga濃度を制御することにより、0.4eVから1.2eVまで調整できることを明らかにした。Ce3+-Cr3+:Y3Al2Ga3O12セラミック長残光蛍光体は、既存材料に匹敵する残光輝度を示した。また、Ce3+の結晶場強度を制御することにより、Ce3+-Cr3+:Gd3Al2Ga3O12黄色長残光蛍光体の開発にも成功した。
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