2013 Fiscal Year Research-status Report
多積層したクラッド箔の発熱を利用したアルミナイドの創製ならびに被覆と接合への適用
Project/Area Number |
25820016
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
新野邊 幸市 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20342545)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 金属間化合物 / アルミナイド / 反応拡散 / クラッド / 熱処理 |
Research Abstract |
アルミニウムを含むアルミナイド系金属間化合物は高温強度や耐酸化性に優れているが,塑性変形能に乏しい欠点をもつ.そこで,この課題を克服するため,積層クラッドと熱処理を用いた製造プロセスを開発している.これは2種類の金属を交互に積層させて,熱処理を施すプロセスで,異種金属の界面には反応拡散により金属間化合物が生成する.本年度の研究では,従来よりも厚さが10分の1となる薄状の試験片を多数積層させ,異種界面の面積を増やすことで,反応を促進させることを検討した. 供試材として,厚さ0.05mm,純度99.9mass%のニッケル薄と厚さ0.05mm,純度99.9mass%のアルミニウム薄を使用し,Ni-Al系アルミナイドの生成を試みた.Ni薄は10mm×15mm,Al薄は9mm×14mmとなるように切断し,積層させる枚数の違いから2種類の試料を作製した.Ni薄16枚とAl薄15枚を積層させ,厚さ0.5mmのNi板で上下から挟んだものをNi-16と称する.Ni薄6枚とAl薄5枚を交互に積層させ,厚さ1.0mmのNi板で上下から挟んだものをNi-6と称する.加熱温度は933Kから1473K,保持時間は180sから3.6ksとした.得られた試料は中央部で切断し,断面を研磨した後に,光学顕微鏡を用いて組織観察を行った. 933Kから953Kの加熱温度ではいずれの試料でもNi2Al3が生成した.Ni-6の場合,933Kで6.2μm, 943Kで8.4μm,953Kで10μmであった.Ni-16の場合,933Kで10μm, 943Kで11μm,953Kで13μmとなった.したがって,多積層により反応が促進され,生成したNi2Al3の厚さが増加することが認められた.より高温域の熱処理でも同様であり,Ni-16の方で,Ni-richなアルミナイドの成長が促進されていることが認められた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時に予測した多積層化による反応促進は明確に認められたことから,研究は当初の目的を順調に達成していると判断できる.現在,実施した933Kから1473Kまでの加熱温度域におけるデータに対して詳細な検討を加えており,さらなる内容が判明すると期待できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
高温域で生成するアルミナイドの特定が現在できていない.この課題を解決するため,外部の試験機関による微小部X線回析や元素分析による詳細な解析を加え,より詳細なデータの解析を実施できるようにする.研究期間内に,引張試験や曲げ試験等の材料試験ができるように,微小試験片の加工法や表面仕上げ法を確立し,対応できるようにする.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果を報告した学会の開催場所が愛媛県であり,中国四国近隣であったことから,旅費が当初よりも少なく済んだことが要因と見られる. 次年度の研究成果の報告場所は名古屋と東京を予定していて,計画的に使用できると見込まれる.
|