2015 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム動的TFM法による細胞バンドパスフィルタ機能のメカニズム解析
Project/Area Number |
25820017
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
塚本 哲 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 講師 (90511460)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞は周波数を認識して別々に適応する細胞バンドパスフィルタ機能を有する.そのメカニズムについて,歪み速度に依存して接着斑に応力が発生することで細胞が歪み速度を感知する,という新たな仮説を考え,この仮説を検証するためリアルタイム動的TFM法を開発することを目的とした.リアルタイム動的TFM法は過去に内外にて研究例が報告されている動的TFM法を基盤とし,これを改良することで開発した.まず,動的TFM法において内外の研究ではポリアクリルアミドゲルをPDMS上に塗布したものが使用されてきたが,ポリアクリルアミドゲルが安定して硬化しなかったため,ポリアクリルアミドゲルの代わりに低弾性率PDMSを用いた.次に,動的TFM法では引張前後のみでしかデータ取得ができていなかったため,引張途中であってもデータ取得ができるようにするため,引張途中に生じるずれを蛍光ビーズ画像の画像処理で排除するアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムでは蛍光ビーズ画像の中でも細胞が存在しない領域のみを情報として使用し,平行移動,回転,拡大などの変形をアフィン行列として表現した.また,動的TFM法では引張前後で生じるZ軸方向のずれは手動で補正することが多かったが,そのような補正はリアルタイム観察を要求するリアルタイム動的TFM法では不可能である.そこで,Z軸方向のずれを対物レンズの焦点深度以下に抑えるよう機械機構を改善し,さらにフィードフォワード制御も取り入れた.動的TFM法を改良したリアルタイム動的TFM法により,細胞が引張刺激に対して示す生理応答の一つである細胞内Ca2+濃度上昇を観察した.その結果,細胞内Ca2+濃度上昇が開始する時刻を捉えることができ,細胞によってばらつきがあることが分かった.
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