2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ間隙におけるマイクロ熱収支を利用したナノ平滑面微小欠陥検出に関する研究
Project/Area Number |
25820030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 裕樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70606384)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 計測 / 欠陥検査 / 接触センサ / 摩擦熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ウエハ等の次世代のナノ平滑面に要求されるナノサイズ欠陥を,マイクロ熱収支変化検知によって検出する,全く新しい欠陥検出原理を提案するものである.薄膜プロセスで形成するマイクロ熱検知素子をナノ平滑面に近接し,ナノ間隙における熱検知素子のμWオーダ熱収支変化を検知しての欠陥検出実現を目指す. 計画最終年度である本年度は,まず,前年度試作のマイクロ熱検知素子形状について有限要素法による伝熱シミュレーションを行った.その結果,当初導入を予定していたマイクロヒータ無しでも,素子印加電流による自己発熱により充分な素子温度上昇が得られることを確認した.そこで,前年度試作の素子を用いて,提案手法による微小欠陥検出可能性の確認実験を実施した. ナノ平滑面上の微小欠陥とマイクロ熱検知素子の接触を模擬するため, PZT精密位置決めステージからなる実験セットアップを構築した.先端径50μmのガラス球プローブ,及び先端径10nm級の自己検知型AFMプローブを接触子として用いた.また,マイクロ熱検知素子に対する接触子の接触力をnNオーダで制御するためのフィードバック機構を実験装置に組み込んだ.実験においては,接触子を微小振動しながらマイクロ熱検知素子に近接した.その結果,開発のセンサ先端径10nm級の自己検知型AFMプローブとの微弱な接触を検出できることを実験的に確認した.また,先端径50μmのガラス球プローブとの接触実験においては,ガラス球と素子の接触開始直後は素子温度が低下することが明らかとなった.ガラス球-素子界面間の水膜層を介した熱移動が要因と考えられ,この結果から,非接触での微小欠陥検出を実現できる可能性を見出すことが出来た. 以上のとおり,試作センサを用いた原理検証実験の結果から,提案手法であるマイクロ熱検知素子による微小欠陥検出の実現可能性を明らかにした.
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