2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25820031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 圭 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60612398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 摩擦 / 摩耗 / 樹脂系複合材料 / RBセラミックス / 充填剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「摩擦・摩耗低減剤」として硬質多孔性炭素粒子を熱可塑性樹脂に充填することにより,低摩擦と優れた耐摩耗性を同時に付与した新しい樹脂系複合材料を開発することである.平成25年度では, RBセラミックス粒子を充填した熱可塑性樹脂複合材料の開発を行った.母材樹脂としてポリアミド66(PA66)樹脂を用いて,充填剤としてRBセラミックス粒子,比較の充填剤としてガラスビーズ,炭素繊維,ガラス繊維を用いた.弾性率,ビッカース硬さは,充填剤の配合により増加し,圧縮降伏応力においては,RBセラミックス粒子を20 vol%充填した複合材料が最も大きい値を示した.平成26年度では,同複合材料の摩擦・摩耗特性の解明を行うとともに,しゅう動材料としての応用可能性を検討した.低負荷条件の場合,材料による摩擦係数の違いは見られず,高負荷条件の場合,RBセラミックス粒子を充填した複合材料の摩擦係数は,他の材料と比べ0.1~0.2程度低い値を示した.低負荷条件の場合,Pv値の増加に伴い比摩耗量は急激に増加し,高負荷条件の場合,ほぼ一定の値を示した.また,充填剤の配合率の増加に伴い,比摩耗量は減少した.相手材料攻撃性として,RBセラミックス粒子を充填した複合材料は未充填のPA66と同等の低い攻撃性を示した.このような違いを検討するために,材料の強度と付加されるせん断応力の比からなる無次元数を用いて,摩耗形態及び比摩耗量との関係を調査した.その結果,全ての材料において,無次元数が閾値を超えることにより,摩耗形態の遷移が生じ比摩耗量が急増することが分かった.つまり,充填剤の配合により摩擦係数が低減し,強度が増加するため,無次元数が低減され耐摩耗性が向上されるといえる.このため,低摩擦と強度の向上と低攻撃性が期待できるRBセラミックス粒子は「摩擦・摩耗低減剤」として実用可能であることが分かった.
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