2013 Fiscal Year Research-status Report
仕上げエンドミル加工における過大切削抵抗抑制のための追加工工程自動計画手法の開発
Project/Area Number |
25820032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
金子 順一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (80375584)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 同時多軸制御加工 / 切削抵抗予測 / シミュレーション / 工具姿勢計画 / 工具経路計画 |
Research Abstract |
本研究では、数値制御工作機械(NC工作機械)による精密部品加工を対象とした新しい追加工工程自動計画法の開発を目標としている。具体的には、切削抵抗および加工対象物の形状シミュレーション技術の開発と、これを用いて、仕上げ加工時に過大な切削抵抗発生の原因となる削り残し領域に対する追加工工程の自動計画アルゴリズムを実現することを目的としている。 平成25年度には、過去の研究において開発した切削抵抗予測技術と、加工対象物の形状シミュレーション技術を連携させ、荒加工時に除去された領域に対して、作用トルクの最大値を履歴として記憶するシステムの開発を行った。素材形状をボクセルと呼ばれる離散空間に分割し、これらの各領域に対する工具通過軌跡との干渉状態を逐次更新することによって、切削抵抗が過大に作用する箇所を全行程のうちから特定することを可能とした。 また、追加工工程の計画に際しては、その際に作用する切削抵抗が最少となる工具経路、姿勢を決定する必要がある。これについて、25年度の研究ではボールエンドミルを用いた同時多軸制御加工を対象に、作用トルクが最少となる工具姿勢をシミュレーションによって比較し、探索的に計画を実施するアルゴリズムの検討を行い、計画システムの試作を行った。開発したシステムでは、初期の工具姿勢案に対してその周囲に複数の姿勢候補を設定し、これらの新しい候補における作用トルクの最大値と、工具軸等の周辺環境との干渉を逐次調査して新しい工具姿勢候補の生成を繰り返し行う。これらの幾何形状処理や切削抵抗予測は並列計算デバイス上で実施され、短時間で工具姿勢を変更して切削抵抗を低減することが変更が可能となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度中には、金型等の大型の加工対象物を対象とした高速な切削抵抗技術を利用して、工具経路上の各瞬間における切削抵抗の予測が現実的な時間内にできるようシステムの改良を行った。工具経路と加工対象物の初期形状を構成する各部分との相対位置を追跡可能とすることで、切削抵抗が各部に作用した履歴情報を記録することが可能となり、仕上げ加工時に除去が必要となる削り残し領域の特定が実現されている。 また、当初計画では特定の工具姿勢からの削り残し領域の除去工程計画法の開発を先に実施する予定であったが、研究の順序を変更し、先にボールエンドミルを用いた同時多軸制御加工における削り残し領域除去の際の工具姿勢計画法の実装を行った。こちらについては計算機実験において十分な成果が得られており、今後、この手法に工具移動中の工具姿勢が変化しない制約を加えることで、当初計画にあった特定の工具姿勢からの除去工程計画法を実現する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、まず前年度内に開発したボールエンドミルを用いた経路計画法の切削実験による検証を実施し、仕上げ加工における効果を確認する予定である。また、こちらの切削実験による検証と並行して、ブルノーズエンドミル、スクェアエンドミルを用いた加工における切削抵抗低減策の開発を行う。こちらの工具に手法を対応させる際には、工具姿勢の変更に加えて、工具先端の経路を変更する必要があるため、工具経路についても各姿勢に対してそれぞれ異なる座標情報を生成するシステムの開発を行う予定としている。
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Research Products
(1 results)