2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25820035
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前川 覚 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (90637406)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トライボロジー / ゴム / 摩擦 / スティックスリップ / 微小すべり / 接触剛性 |
Outline of Annual Research Achievements |
メカニカルシールやラバーブッシュに挙げられるように,軟質材料(樹脂材料やゴム材料など)をしゅう動部材として使用する機械部品は少なくない.軟質材料のすべり摩擦を対象とする場合,摺動面での摩擦力によって生じる部材のバルク変形や,それにともなう界面の微小すべりは,システムの実効的な摩擦特性を決定する重要な因子となる.従って,軟質材料の摩擦制御においては,インターフェイスに着目した従来の手法(例えば,潤滑油の改良や表面改質)に加えて,バルクの変形や微小すべりを考慮した新たなすべり摩擦設計指針の提案が必要であると考えられる. そこで本研究では,すべり摩擦下における真実接触部の空間分布および接触面内の応力場の時間変化が観察可能な新規摩擦試験機を試作した.同試験機は,透明なゴム試験片(ポリジメチルシロキサン)とガラスまたはアクリル樹脂のすべり摩擦を対象とする.また,光弾性手法を利用して,バルク応力場の可視化が可能である. 同装置を用いた摩擦実験によって,軟質材料におけるスティックスリップ振動の発生メカニズムを明らかにした.軟質材料では,他の硬質材料におけるスティックスリップとは異なり,Schallamach波の伝播に起因する小規模なスティックスリップとバルクの変形にともなう大規模なスティックスリップに区別される.従って,前者が支配的な場合においては表面特性(例えば,凝着力),後者が支配的な場合においてはバルク特性(例えば,ヤング率やバルク形状)が摩擦特性を決定する重要な因子となる. さらに,同装置による真実接触面観察により,接線剛性の直接計測が可能であることを明らかにした.接触剛性は,駆動機構の位置決め精度や剛性,システムの安定性に大きく影響することから,機械部品の性能を決定する重要な因子となる.従って,同計測システムが表面設計の重要なツールとなることが期待される.
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