2013 Fiscal Year Research-status Report
ベンチュリ管内気液二相流における界面輸送現象の利活用
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25820055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金子 暁子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40396940)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 気液二相流 / ベンチュリ管 / 物質輸送 / 化学反応 / 粉塵除去 / 音速 |
Research Abstract |
1.ベンチュリ管内物質輸送現象を利用した化学反応技術について.pH,導電率,溶存二酸化炭素量変化を計測するためのシステムを作製し,既存の実験装置に組み込んだ.液相には水道水および蒸留水を使用し,気相にはN2,CO2,C2H4を用いた.化学反応が期待されるC2H4混入時にはN2気泡混入と同様にpHが上昇するものの,ベンチュリ管を経て気泡崩壊させた条件では,気泡崩壊なしの条件よりも最終的なpH値が低くなった.一方で,導電率および全炭酸量はN2気泡の混入時とは異なり上昇し,その絶対量は気泡崩壊ありの条件の方が高い値となった.以上より,ベンチュリ管内の気泡崩壊現象によって化学的作用が生じることが示された. 定電流法を用いたボイド率計測法の開発では,電気信号からボイド率に換算するためのアルゴリズムを改良することで,分散気泡流へのボイド率計測を可能とした.また,その誤差を10%程度に抑えることができた.さらに定電流法の特徴を生かしたサンプリング周波数100kHzでの高速インラインボイド率計測が可能であることを示した. 2.ベンチュリスクラバによる放射性粉塵除去技術について.実験装置を作製し,ベンチュリ管喉部圧力および吸い込み液流量について,圧縮性気相単相流の一次元解析と実験結果を比較した.これらは解析,実験ともに互いに相関を有すことを明らかにした.喉部圧力上昇により液相吸い込みが停止する条件が現れることが分かった. 3.分散系気液二相流の音速について.ベンチュリ管内気泡崩壊現象により生じた圧力波の伝播挙動を実験的に調べた.可視化と圧力の同期計測から,定電流法で得られたボイド率とベンチュリ管下流に伝播する圧力波の速度には相関が見られ,ボイド率の増大とともに非線形的に圧力波の速度が減少することが示された.また,気液二相流における均質流モデルの音速の予測式との一致を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ベンチュリ管内物質輸送現象を利用した化学反応技術について.当初予定通り,計測システムの構築およびpH計測を実現している.また,H26年度実験予定であった導電率および溶存二酸化炭素量についても計測を実現し,成果を出している. 定電流法を用いたボイド率計測については分散系気泡流について十分な精度で計測可能なシステムを構築した. 2.ベンチュリスクラバによる放射性粉塵除去技術について.実験装置の構築および詳細可視化計測のためのシステムを完成させ,吸い込み停止する条件があることをすでに確認している.また,数値解析の準備も整いつつある. 3. 分散系気液二相流の音速について.超音波振動子を駆動するための広帯域RFパワーアンプの購入が当初予定より遅れた.また,超音波振動子についても準備中である.一方で,ベンチュリ管内の圧力波伝播挙動について,可視化,圧力計測,ボイド率計測を行い,その伝播速度が気液二相流における均質流モデルの音速の予測式とよく一致することを確認している.この知見により,超音波振動子を用いた実験のための基礎的知見が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
1.ベンチュリ管内物質輸送現象を利用した化学反応技術について.平成25年度に確立した実験装置を用いて種々の流動条件に対して二酸化炭素発生の実験を行う.ベンチュリ管内可視化,pH,導電率,溶存二酸化炭素量の計測に加え.高度な成分分析を茨城県工業技術センターに依頼する.これらより,流動条件と気泡挙動および化学反応の相関を定量的に明らかにし,本システムの化学反応器としての適用範囲を明らかにする. 2.ベンチュリスクラバによる放射性粉塵除去技術について.平成25年度に確立した実験装置を用いて,種々の流動条件に対して管内圧力,吸い込み液相流量およびボイド率変化を計測し,ベンチュリスクラバの作動条件を明らかにする.さらに,粉塵の模擬としてアルミナ粉末等を混入した気体を気相として用い,粉塵の除去実験を行い性能を評価する. 3. 分散系気液二相流の音速について.平成25年度はベンチュリ管全体における混相流の音速を,音波伝播の有無から調べたのに対し,平成26年度はローカルな気泡径およびボイド率変化に対する音速の違いを,超音波振動子を用いて計測する.管内に超音波パルサーレシーバーを設置し,管内の音波の伝播の様子と気泡流動構造の相関を調べる.同時に,数値解析を試み,実験と数値解析の比較を行い,音速のメカニズムを明らかにする.
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Research Products
(23 results)