2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25820059
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
酒井 康行 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70511088)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自着火 / 低温酸化 / 反応機構解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガソリンエンジンのノッキングは,燃焼室壁面近傍における熱発生および損失,乱流現象が複雑に絡み合った現象である.したがって,ノック抑制手法を提案してエンジンの熱効率を向上させるためには,燃料の化学反応,乱流,壁面熱伝達などの諸現象を基礎から理解することが重要である.本課題は,燃料の自着火に関して素反応過程から理解することを目的とした. 数百の化学種と数千の素反応から構成されているアルカン(鎖状飽和炭化水素)の自着火反応機構に対して,自着火を決定する上で重要な燃焼中間生成物であるROO (アルキルペルオキシラジカル) に着目し,ROOの化学構造と反応性について考察を行った.QOOHとO2QOOHが定常状態にあると仮定して求めたROOの連鎖分岐と連鎖成長過程へのみかけの反応速度定数を考察に利用した.みかけの反応速度定数は,燃料の酸化開始の初期段階の温度変化に対応している.また,六員環または七員環の遷移状態構造を経由するROOの異性化反応および後続反応が,主に連鎖分岐および連鎖成長過程に影響を与える.化学構造との関連は以下のようにまとめた.(1)連鎖分岐過程への反応速度定数は燃料分子サイズの増加とともに大きくなる.(2)第二級ROOと比較すると,第一級および第三級ROOの連鎖分岐過程への反応速度定数は小さい(3)γ位に第三級炭素がある場合には,連鎖分岐過程への反応速度定数が,特に低温条件下で大きい(4)γ,δ位に第三級炭素がある場合には,連鎖成長過程への反応速度定数が大きい.(5)γ位に第四級炭素がある場合には,連鎖分岐過程への反応速度定数が小さい(6)β,γ,δ位に第四級炭素がある場合には,連鎖成長過程への反応速度定数が変わる.これらの化学構造と反応性の相関に関する知見は,エンジン設計に利用される化学反応モデルの開発,特にランピング法を利用した化学反応モデル開発の指針になる.
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Research Products
(2 results)