2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内凍結の伝播阻害による内皮細胞の凍結耐性の向上に関する研究
Project/Area Number |
25820063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福永 鷹信 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (60591196)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞内凍結の伝播 / ギャップ結合の可逆的阻害 |
Research Abstract |
臓器の凍結保存技術開発の基礎として,凍結解凍後の細胞内凍結および生存率に及ぼす細胞間接着の影響を明らかにするとともに,細胞間結合の可逆的阻害により凍結解凍に対する凍結感受性を低下させ,内皮細胞の凍結耐性を飛躍的に向上させることを目的とし,以下の実験を遂行した. 実験方法の確立を目的としクライオチャンバーと正立顕微鏡からなる低温顕微鏡を用い凍結実験に関する環境を整えた.次に,研究計画に従い,細胞間接着が凍結損傷に与える影響を解明するため,イヌ腎臓尿細管上皮細胞株MDCK細胞を用い,細胞間接着を有する状態のモデルを用いて細胞の凍結解凍実験を行った.また,MDCK細胞のギャップ結合による細胞間情報伝達を確認することおよび,またギャップ結合の阻害溶液試薬であるヘプタノールを用いてMDCK細胞のギャップ結合を阻害できるかを確認するため,scrape-loading法を用い確認実験を行った. Control群ではトレーサー試薬であるLucifer yellowの蛍光色素が引っ掻き傷を受けた細胞から隣接する細胞へ伝播することが確認され,ギャップ結合による情報伝達を確認することができた.一方,ヘプタノールによるBlock群では,Lucifer yellowの蛍光を示す細胞が引っ掻き傷を受けた場所にのみ観察され,他の細胞に伝播していないことから,ヘプタノールによるギャップ結合の阻害を確認することができた.今後,細胞内凍結の伝播のパターンを詳細に調べるととともに,冷却速度のみならず,植氷温度や最低温度等のパラメータを変化させ実験を行う予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,臓器の凍結保存技術開発の基礎として,凍結解凍後の細胞内凍結および生存率に及ぼす細胞間接着の影響を明らかにするとともに,細胞間結合の可逆的阻害により内皮細胞の凍結耐性を飛躍的に向上させることを目的とし実験を遂行している. 平成25年度は,実験方法の確立を目的とし,ヒト前立腺癌細胞由来の細胞株PC-3 細胞を試料とした実験を行う予定であったが,細胞-基質接着および細胞間接着が凍結損傷に与える影響の解明する実験の際,細胞間接着を有する状態のモデルで細胞の凍結解凍実験を行うと細胞が実験中にカバーガラスから剥離してしまう問題が起こった.そのため,細胞をギャップ結合が確認されているイヌ腎臓尿細管上皮細胞株MDCK細胞に変更し,実験を遂行した. 実験は計画通り遂行されており,クライオチャンバーと正立顕微鏡からなる低温顕微鏡を確立し,細胞凍結時の熱的パラメータの影響を調べ,ギャップ結合の可逆的阻害による凍結耐性の向上に向けて各種実験を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実験方法の確立を目的としクライオチャンバーと正立顕微鏡からなる低温顕微鏡を用い凍結実験を行い,細胞凍結時の熱的パラメータの影響を調査した.次年度は,細胞間接着を有する単層培養シートモデルにおいて,ギャップ結合を介した細胞間情報伝達を可逆的に阻害し,細胞内凍結を抑制させ,凍結解凍後の生存率向上を図るため,血管内皮細胞を実験対象とし,凍結解凍に対する凍結感受性を低下させ臓器の凍結保存を可能にする新規凍結プロトコルの確立を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費における細胞培養関連品(培養液,ディッシュ,使い捨てピペット等)が初年度実験計画を遂行した際,予定より実験がスムーズに進み,購入予定物品を購入する必要がなくなったため 次年度実験計画の遂行における消耗品費の細胞培養関連品に充て,利用する計画である.
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Research Products
(1 results)