2013 Fiscal Year Research-status Report
炭化水素改質燃料供給下における固体酸化物形燃料電池のセル内電流分布の解明
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25820064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 裕典 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70432862)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電流分布 / 固体酸化物形燃料電池 / 温度分布 / 分割電極 / 改質模擬ガス / 内部改質 |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セル内では,燃料の消費,炭化水素燃料の内部改質反応の不均一性によって,これらの濃度が不均一となり,電流分布が生じる.これにより発電が有効に行われない部分が生じたり,温度分布の発生により熱応力に伴うセルの機械的劣化が進行する問題並びにニッケル触媒の酸化還元による膨張収縮からの劣化がある.そこで本研究では,単セルの表面温度を計測し,熱伝導方程式に基づいて,セル各部の発電による熱の流入流出から,セル内電流分布要因を明確にすることを目的としている.SOFCとして,電解質薄膜化や高導電率の支持体による内部抵抗低減の観点から注目されている燃料極支持型の,円筒形マイクロSOFCを作製した.Ni/8YSZ燃料極支持体を製作し,これを8YSZスラリーでディップコーティングした後,共焼結を行った.さらに空気極としてLSMスラリーを3分割して塗布し分割空気極を焼成した.このセルについて,50%メタン改質組成燃料および空気を供給し,800℃で各分割空気極について電流電圧(IV)特性を評価したところ,発電電流を取り出すことができた.熱電対を各分割空気極表面に設置し,発電中の各部温度を計測することができた.各分割電極のIV特性から得た過電圧と水素燃料を仮定した発電に伴う可逆的エントロピー変化(電気化学ペルチェ効果)による発熱量を熱伝導方程式に代入して得た各部計算温度と各部実測温度の比較により,燃料内部改質による温度低下分がそれぞれに明らかになり,水蒸気改質による各部の吸熱量が得られた.その結果,燃料消費により水素分圧が低下するとともに生成水蒸気の増加により,ガス供給の下流方向に向かって内部改質反応速度の増加する挙動が実験的に明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
燃料極支持形マイクロSOFCの分割電極の作製により各部分の電流電圧特および表面温度の計測が可能になったことで,セル内の電流分布および温度分布の計測解析手法の確立ができ,これを実燃料を模擬した炭化水素燃料の改質模擬ガス運転に展開できたため.また,各部の内部改質による吸熱量と内部改質反応速度を見積もることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
ガスクロマトグラフィーによりSOFCの排出ガス組成を調べ,本研究の分割電極による電流分布と温度分布計測から見積もった内部改質反応速度の妥当性を調べる.また,改質模擬ガス運転時の,水素と一酸化炭素の電気化学反応の割合を,反応の可逆的エントロピー変化(電気化学ペルチェ効果)の違いに注目しながら,内部改質による吸熱量を考慮することで見積もる.以上から,炭化水素改質燃料供給下におけるセル内燃料濃度分布や反応分布を明らかにして,セル内電流分布に与える影響を解明する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
セルの作製技術や実験技術が向上して実験中のセルの耐久性が上がり,長時間計測できるようになったため,燃料極支持体の製作費,電解質,空気極スラリーの材料費等の消耗品の価格の合計が計画を下回ったため. 次年度に計画している,燃料極支持体の製作費,電解質,空気極スラリーの材料費や,セルの保持治具,セル温度計測用熱電対,石英管,ガス配管等の消耗品の購入費と併せて使用し,より幅広い条件での計測を行う.
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