2013 Fiscal Year Research-status Report
二波長干渉計を利用したマイクロ波プラズマ支援燃焼場の診断に関する研究
Project/Area Number |
25820069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
今村 宰 日本大学, 生産工学部, 准教授 (50436515)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 燃焼 / 干渉計 / プラズマ / 対向流火炎 |
Research Abstract |
総合的なエネルギー効率の向上と環境汚染物質の低減を目的にプラズマ支援による燃焼に関する研究が数多く行われてきている。これらプラズマ支援燃焼において、特に非平衡プラズマを用いる場合には電子衝突反応を考えなくてはならず、電子の状態に関する観測が必須である。また火炎を含むプラズマの存在により外部から印加されている電界が影響を受けるため、印加電界とプラズマとの干渉効果を見積もることは、実機関へプラズマ支援燃焼を適用するにあたって重要と思われる。以上のような背景から、本研究では二波長干渉計と分光計測により、プラズマ支援された拡散火炎の主に電子状態に関して計測を行い、プラズマと燃焼現象の干渉および非平衡プラズマを用いたプラズマ支援燃焼のメカニズム解明に関する知見を探るものである。 平成25年度においては以上のような視点に基づき、計測の準備を主として二波長干渉計の構築を行ってきた。二波長干渉計の原理は分子と電子ではグラッドストーン-デイル定数の波長依存性が異なることなることを利用するもので、2つの異なる波長で計測を行い、その画像における干渉縞の移動の差異から電子の分布について検討するものである。平成25年度においては、二波長干渉計の構築を行うとともに、それを用いての電子分布計測に関する有意性について議論を行った。二波長干渉計はマイケルソン―モーリー式の干渉計で、430nmと、650nmの二波長を用いて構築した。観測範囲は直径25mmである。二波長干渉計の電子分布計測に対する有意性について検討するため、直流電界中の液滴燃焼場について、二波長干渉計を用いた火炎周りの様子について観察を行い、二波長干渉計が電子分布の計測に有意であることを示した。また対向流バーナーをマイクロ波印加装置とともに製作し、火炎の分光計測も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では、初年次(25年度)においては計測系の開発に主眼がおかれていた。計測の手法としては二波長干渉計と発光分光が計画されており、平成25年度の実施内容として二波長干渉計の構築と分光計測を実施することができ、特に二波長干渉計についてはその有用性についても定性的にではあるが示すことができたため、計測系の開発は一定の進捗を見ている。申請時での計画では、真空チャンバー等を用いて平衡プラズマを生成してその挙動を観察する予定であったが、その後の検討の結果、電子分布と温度分布が異なるような場の方が本計測手法の検証に相応しいとの観点から、平成25年度においては電界中における火炎を用いて二波長干渉計の有意性について検討を行った。これにより二波長干渉計の有意性については示すことができたが、プラズマを生成および観測には至らず、結果として分光計測をプラズマに適応することができなかった。この点が次年度への積み残しであり、申請時の計画からは多少の遅れが生じている。 他方で、プラズマを生成する容器等の製作の代替として、対向流拡散火炎を生成するためのバーナーをマイクロ波印加装置とともに概形ではあるが製作した。流量の調整などに改良点が残っているものの、このようなバーナーの製作は申請時においては2年次以降の諸策であったが、初年次においてその概形を製作できたため、申請時の計画をこの点においては前倒しできている。またバーナーの構築ができたため、火炎に対しては分光計測を施すことができている。 以上述べてきたように、計測系の開発という観点からは、初年次においてはプラズマを対象とした計測ができていないため、申請時の計画より多少は遅れているものの、他方でバーナーの製作を前倒して実施することができており、このような進捗状況から本研究計画は概ね計画どおりに進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降においては、平成25年度に実施が不十分であった内容について継続的に実施するとともに、申請時において2年次以降に実施予定であった内容について順次実施していく予定である。 平成25年度の主な実施としては、申請時に計画では計測系の構築と確認であった。現状では特に平衡プラズマを生成しての計測系の確認が実施できておらず、平衡プラズマを生成して計測系の確認を行う予定である。これに合わせて二波長干渉計の定量的な評価についても平成25年度に実施した内容を継続して行って行く予定である。 申請時に計画において、平成26年度に予定していたマイクロ波放電装置の製作および対向流バーナーの製作については、その概形については平成25年度に製作を実施することができたため、平成26年度についてはその改良を主に行って行く予定である。資金的な問題からマイクロ波強度およびガス流量の調整機構については十分な製作ができていないため、その点を重点的に改良を行う予定である。またバーナーの材質についても改めて検討を行い、必要であれあば新規製作も計画する。 これらの装置を構築した後、干渉計における計測および分光計測を用いて対向流拡散火炎の特性について調べ、その後、マイクロ波放電放電によって生じた非平衡プラズマと対向流拡散火炎との干渉について調べる。これら調査を通じて、プラズマと燃焼現象の干渉および非平衡プラズマを用いたプラズマ支援燃焼のメカニズム解明に関する知見を探る。計測診断システムの構築と、マイクロ波が印加された対向流火炎における電子分布の計測および誤差評価が、本研究における最低限の到達目標としている。同時に分光計測を行うので、OHやCH、もしくはOなどの活性化学種と電子の分布、温度がどのような関係にあるのかについて議論するとともに、電界場の変化についても考察を行う。
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