2013 Fiscal Year Research-status Report
超流動ヘリウムの機能性流体としての医療分野への応用とマイクロ熱流動機構の解明
Project/Area Number |
25820071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
野澤 正和 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60447183)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロチャネル / 極低温流体 / 伝熱特性 / 二重円管 / 気液二相流 |
Research Abstract |
凍結外科療法で用いるクライオプローブは、プローブ先端の径が微小なものほど、施術の成功率も上昇し、様々な位置・形状の患部への適用も可能となる。機器の小型化のためには、プローブ内のサブミリオーダの狭小流路(マイクロチャネル)内の流体挙動の把握・制御が重要となる。さらに、プローブに断熱槽を設ける必要もあるため、小型化のための画期的な構造を考案する必要もある。本研究では、サブミクロンオーダの狭小流路も流動できる超流動ヘリウム(He II)を用い、He IIの持つ熱機械効果を利用した効率的な医療用伝熱機器の機構を開発する。今年度はクライオプローブを模擬した、マイクロチャネルの製作を行い、マイクロチャネルにおける極低温流体の伝熱特性を明らかにした。極低温流体として、液体窒素を用いての実験を実施した。チャネルは二重円管構造とし、プローブへの熱侵入を模擬するために、断熱材に埋め込んだ銅ブロックヒータを用いた。二重円間の内管の内径はφ1.75、外管の内径はφ5、φ10、φ15とした。液体窒素の流動については、断熱を施した耐圧容器に液体窒素を充填し、耐圧容器を昇圧することで圧送する方式を用いた。今回製作した内径の流路では、液体窒素が問題なく流動することが確認できた。計測は、流路内の3点の温度計測と、外管の管壁近傍における圧力変動の計測を行った。計測結果より、流路内に温度分布が発生していることが分かった。また、圧力変動に関しては、液体窒素の流量の条件によっては、流動状態が間欠的になり、それに対応した圧力変動も計測された。得られた温度計測結果から、熱伝達率を算出したところ、流量の増加とともに熱伝達率は上昇するが、気液二相状態になると、熱伝達率の傾向が変わることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロチャネルの製作は実施し、液体窒素が流動する際の伝熱特性を計測することはできた。しかし、本研究の目的は、超流動ヘリウムが流動する場合の伝熱特性を明らかにすることにあるので、初年度に予定していた、超流動ヘリウムによる実験は、次年度に持ち越すことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、超流動ヘリウムを用いて実験を実施する予定である。また、今年度製作したチャネルでは、液体窒素が問題なく流動することを確認できたので、次年度は、より内径を小さくした流路を用意して、同様の実験を実施する予定である。また、人体からの発熱量を模擬した加熱条件で計測を行い、実用の熱負荷に対応できるかの検討も行う。 多孔質材を用いる影響については、液体窒素中でも毛細管効果による伝熱特性の促進が期待できる。液体窒素等の通常の粘性流体と超流動ヘリウムの伝熱特性の相違について、多孔質材を設置した場合の影響について明らかにする予定である。
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