2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25820080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
莊司 泰弘 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (70582774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 力学状態の解析 / 力学特性の測定 / 外乱力の推定 / 成層圏気球 / 大規模柔軟構造物 |
Research Abstract |
本研究は2段階に分かれ,1段階目は飛翔中の気球系の力学状態の推定と,地上試験におけるゴンドラ運動状態の再現であり,2 段階目は,吊り紐の形状と制御特性の関係の定量的評価である. 1段階目で目標とする気球系の力学状態の推定をするため,実際のフライトデータから飛翔中の気球系に作用する外乱力を推定する手法の検討を行った.また検討した手法に従って,過去のフライトデータからサンプルケースを選び分析を行い,気球の飛翔環境の遷移とともに,明確に外乱力の,特に周波数特性に変化が現れることを見出すことができた. 2段階目で吊り紐の形状と制御特性の関係の定量的評価を行うため,力学特性を測定するための装置を構築し,一部の条件下での基礎データの取得を行った. ラダー型の吊り紐の力学特性は,張力による微少な変形を無視することで,解析解を得ることができた.また過去の気球実験において取得されたデータと比較することで,おおよそ振動の周波数特性を再現できることが示された.一方1本吊り型の吊り紐の力学特性は,純粋にアラミド繊維製ロープの物性に支配されるため,解析解は求められず,実験的に求められる必要がある.そこで飛翔中の吊り紐と同様に張力が印加されている状態でロープをねじり,反トルクを測定する装置を構築し,一部の条件下においてデータの取得に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は職務に対する計画以上のエフォート率の増加により,本研究に対するエフォート率が低下した.そのため作業計画の順番を入れ替え,平成25年度においては数値解析等の割合が増加し,テストベッド構築などの進捗が低下した. 本研究では,過去のフライトデータの分析により飛翔中の気球の力学状態を推定し,また機械特性を解析及び実験より求めることで,姿勢制御実験を行うための実験条件の規定が重要である.平成25年度は解析により気球系に作用する外乱力の性質を抽出できることを示すことができた.一方,サンプルが少ないため,一般性が不足している.また,実験による気球吊り紐の機械特性の計測も進んでいる.これについては,計画段階から計測手法の効率化を高め,予定よりも多くのサンプルを得ることができた.また,これらの基礎データの充実が実験の一般性を高めることができると予想され,当初計画よりもより幅を広げてデータの取得が必要であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の課題として,(1)過去のフライトデータサンプルの追加による解析の補強,(2)吊り紐の力学特性データ取得実験の条件追加,(3)(1),(2)による飛翔中の気球系の力学状態に対する理解の深化,(4)研究目標である1本吊り,ラダー型吊り紐の定量的な優位性の比較,が上げられる. (1),(2)については,これまでに構築した解析手法,実験手法により推進する.これらはすでに手法が確立しており,解析条件,サンプルを増やすことで実現可能である.その上で(3)について,フライトデータ,実験データを統一的に解釈できる理論の構築を検討する.ここまでで一度成果発表を行うこと目標とする. (4)について,1本吊り,ラダー型のそれぞれの特徴を定量的に示し,気球の飛翔条件ごとの優位性について議論する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
数値解析環境の導入にかかる経費として,ワークステーション,ソフトウェアの導入にかかる経費,および対外発表にかかる原稿料等を予定していた.しかし本研究に対するエフォート率の低下に伴い,年度内の執行ができなかったため,繰り越すこととした. 対外発表は発表時期が遅れるものの,予定通り行えるよう準備を進めている.従ってこれにかかる経費は予定通り使用する.数値解析環境の導入についても時期以外の計画に変更はないため平成26年度中のなるべく早い時期に執行する.
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Research Products
(2 results)