2014 Fiscal Year Research-status Report
車両搭載型クレーン間のテザー懸垂による空間移動装置を用いた広域作業システムの構築
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25820081
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
程島 竜一 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10432006)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | テザードロボット / 広域作業システム / 負のエネルギ / 群ロボット / 協調走行制御 / 機構設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、並走する2機の走行車両の間に2本のテザーをループ状に架け渡し、そのテザーにより往復運動する懸垂装置を用いた作業システムを開発している。2年目となる本年度では、提案システムを実験的に検証するために必要な試作システムの開発を行った。 まず機器の選定を行った。走行車両としては市販のラジコン模型自動車を用いた。これを半自律的に走行可能に改造することで、信頼性の高い走行車両を安価に開発した。またテザーとしては小さい巻取径を実現できる化学繊維ワイヤを採用した。次に、搭載する機構やセンサ系を新たに設計し開発した。機構要素としては、(1)テザーを巻取り・放出するためのウィンチ機構、(2)テザーの張力を測定するための張力測定装置、(3)テザーを支持する支柱、(4)懸架する作業機である。今年度は提案システムの基礎性能を検証するため、まずは可動式クレーンではなく固定式のクレーンでシステム検証を行うこととした。またセンサ系として、並走して走行する相手車両の相対位置・姿勢を計測できるように、当初の計画にはなかったレーザーレンジファインダによる相手車両の相対位置・姿勢推定システムを検討し試作を行った。システムの詳細な性能検証は今後行う予定であるが、予備実験により並走する走行車両の相対位置・姿勢を推定可能である精度を有していることが確認できた。また研究効率を考え当初の計画を前倒しし来年度に予定していた協調走行制御の開発も一部開始した。現状では低速時での直進走行における並走に成功している。 最後に、開発した各々のシステムを統合し、試作システムを完成させた。基礎実験を行い、並走している2台の車両間をテザーで懸架した作業機が往復できることを確認した。そして2年目の研究のまとめとして、機構設計の結果を設計論として整理・体系化し、将来の実用機に本研究を展開するための足掛かりを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目である本年は申請した研究計画の内、当初の目的の8割程度は達成できたと考えている。以下でその詳細について説明する。 まず「システムの試作開発」については、小型・軽量でテザーの張力・放出長さ測定が可能なウィンチ機構、小型クラッチ機構、懸垂装置を当初の計画通りに開発できた。ウィンチ機構に関しては別途ロードセルを用いたテザー張力測定装置やポテンショメータを用いた放出角度測定装置を組み込むことで、小型クラッチ機構に関しては小型電磁クラッチを用いることでそれぞれ実現した。懸垂装置に関しては、最初のアプリケーションとして牧場の草刈り装置を想定した懸垂装置を開発した。ジャイロセンサや加速度センサを搭載し、自身の位置・姿勢を推定できるようになっている。なお、車両搭載型クレーンについては、まずは固定式クレーンでシステムを構築し研究を進めることとした。これは固定式のクレーンでも提案システムの有効性を十分に証明可能であり、また可動式クレーンの開発が予想以上に時間を要すると判明したためである。そこで可動式クレーンについてのみ次年度以降に検討することとした。そして開発した要素を統合し実験を行い、提案システムの性能検証を行った。以上のように、システムの試作開発については、ほぼ計画通りに研究を遂行でき当初の計画をほぼ達成できた。 次に「機構設計論」については、機構設計の過程を整理・体系化することで、将来の実用機を開発するための基盤を構築した。具体的には、設計概要や設計の流れ、設計の過程などを整理し設計の段階ごとにまとめることで、実用研究へ展開するための基礎を築けたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までは概ね計画通りに研究を進められているため、基本的に申請した計画に基づいて研究を推進していくことを考えている。なお今年度の研究で見送った可動式クレーン機構については次年度に検討する。 次年度にて行う「制御器の開発」に関しては、2台の車両の協調走行制御を中心に研究を進めていく。また「農業や産業への応用例の構成」については、可能な限り広い範囲で市場調査を行い、本研究の応用例を広く模索する予定である。
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Research Products
(1 results)