2014 Fiscal Year Research-status Report
人間の運動制御器のデータベース化とそれに基づく運動戦略設計のための基礎研究
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25820086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 江 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20641880)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経筋骨格モデル / 非線形制御 / 動力学解析 / ヒューマノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の運動を力学的に解析するために神経筋骨格モデルが使用されてきた.従来,個々の運動単位についてそのコントローラをモデル化する研究が行われてきたが,運動と運動の間の「遷移状態」を力学的拘束条件の下でどのように制御しているかは議論されていなかった.本研究では,個々の運動コントローラをデータ単位とするデータベースを構築することで運動遷移の仕組みを解明することを目的とし,その基礎研究として人間の神経筋骨格モデルにおいて力学的拘束条件を満足する状態集合(最大CPI集合もしくはMOA集合と呼ばれる)を計算する手法を確立する. 前年度までに,人間の歩行ダイナミクスを倒立振子で表した簡略化モデルにおける最大CPI集合の計算アルゴリズムを確立した.特に,周期的な歩行を実現する非線形コントローラにおける最大CPI集合の近似的な計算手法を確立した.当該年度では,この近似精度についての検証を行った. 人間の神経筋骨格モデルのような大自由度モデルにこの手法を直接適用すると,計算量が膨大となり実現が難しい.当該年度において,当初はアルゴリズムの改良による計算量の低減を目指したが,高性能な計算用ワークステーションにおいても実装が困難であった.そこで,大自由度モデルにおけるコントローラを簡略化モデルにおけるコントローラへ等価変換し,簡略化モデルにおける最大CPI集合の計算アルゴリズムを適用できるような手法を開発した.この手法で計算された最大CPI集合が元の大自由度モデルにおいても有効であることを簡単なバランス制御を例として検証した.今後は,周期的歩行のための非線形コントローラへとこの手法を展開することで,神経筋骨格モデルにおける最大CPI集合の計算が可能になる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は簡略化モデルにおける最大CPI集合の計算アルゴリズムをそのまま神経筋骨格モデルのような大自由度モデルに適用することを考えていたが,予想以上に計算量が膨大となり,実現が困難であった.そこで計画を修正し,大自由度モデルにおけるコントローラを簡略化モデルにおけるコントローラへ等価変換し,簡略化モデルにおいて最大CPI集合を計算する方法を新たに開発した.それに伴い,当初計画していた「最大CPI集合の逆問題を解くことによる運動遷移のコツの設計」については十分に達成されていない.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度で開発した「大自由度モデルにおけるコントローラを簡略化モデルにおけるコントローラへ等価変換する手法」を発展させ,人間の神経筋骨格モデルにおける最大CPI集合を計算し,運動遷移のコツの設計へと展開していく.
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では,最終年度内に研究成果を国内会議にて発表する予定であった.しかし,研究の進捗状況を考えると最新の研究成果を年度内に開催される国内会議へ論文投稿することが難しく,論文投稿料・旅費として計上していた研究費について未使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度内に発表できなかった最新の研究成果について学会発表を行う予定であり,未使用額は必要な論文投稿料,参加費,旅費として使用する予定である.
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