2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25820088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
亀川 哲志 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (80432623)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘビ型ロボット / 反射行動 / 障害物利用推進 / 接触センサ / 側抑制 |
Research Abstract |
ヘビ型ロボットは細長い構造であるので,災害や事故により倒壊した建物の内部の調査を行うロボットとして,また既存のプラント設備において複雑な配管の内部を調査するロボットとして利用することなどが期待されている.しかしながら,これまでに研究開発されているヘビ型ロボットのシステムは,まずヘビ型ロボットのなすべき所望の体幹形状を計画し,これを実現するための目標角度を各関節に与えて関節角度を制御することで特定の移動形態を実現しており,複雑で未知の環境に適応して移動をするヘビ型ロボットは実現されていない.その原因として,これまで開発されてきたヘビ型ロボットは環境とインタラクションをするためのセンサを備えておらず,環境を積極的に認知するための手段をほとんど持ち合わせていないという大きな問題があった.一方で,モバイルロボットの分野では,behavior-based roboticsまたは身体性認知科学と呼ばれるアプローチにより,実環境にリアルタイムに適応して行動をするロボットの枠組みが提案され,市販のお掃除ロボットなどに実装されて実用化されている. そこで本研究では,環境とインタラクションするための接触センサを備えたヘビ型ロボットを構築し,あるリンクに接触刺激があった場合の反射的な振る舞いについて効率的なパターンの検討を行う.具体的には,環境中の障害物を避けるのではなく,障害物を積極的に利用して推進するヘビ型ロボットを実現するための枠組みを明らかにする.さらに,ヘビ型ロボットの関節の設計においても粘弾性のあるモデルを構築し,環境に対して柔軟に変形をすることのできるヘビ型ロボットを実現する.研究の初期段階においては,物理シミュレーター上に構築したヘビ型ロボットのモデルを使って,反射行動の基本的な方向性を検証する.その後,実機実験により実環境での反射行動により障害物利用推進を行うヘビ型ロボットを実現する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目標とする障害物の散在する空間でのヘビ型ロボットの移動を達成するにあたり,最終的には実機実験により実環境で障害物利用推進を行うヘビ型ロボットを実現することを目的としているが,研究の初期段階においては,物理シミュレーター上に構築したヘビ型ロボットのモデルを利用する.シミュレーター内に構築したヘビ型ロボットは,サイズや重量,関節の最大トルクなどのパラメータを実在のヘビ型ロボットと同じにしてある.さらに,側面に接触力を測定できるセンサを実装しており,関節部分には粘弾性の特性をもつ関節のモデルが実装してあり,関節にかかるトルクを測定できるようになっている. 平成25年度は,当初の計画どおりに,動力学シミュレーター上に構築したヘビ型ロボットのモデルを利用して,接触センサ情報を利用した反射的障害物利用推進アルゴリズムの検討を行った.接触情報に基づいた反射的推進アルゴリズムに関しては,神経回路の分野で使われている側抑制の原理を応用し,新たに提案する「拡張反側抑制」と呼ぶアルゴリズムを導入することでヘビ型ロボットの障害物利用推進がシミュレーション内にて実現された.また,頭部の向きを目標方向へ向ける制御を組み合わせることで,ヘビ型ロボットが障害物内でスタックすることなく効率よく移動できることを確認した. さらに,ヘビ型ロボットの実機モデル(プロトタイプ1号機)の設計・製作を行った.プロトタイプ1号機は3リンク2関節の構造になっており,接触センサとして市販の圧力センサを2つ組み合わせて接触力の大きさと力の加わる位置を測定するセンサを新たに設計・製作してロボットに実装した.さらに,磁性流体を用いて粘性の変化する関節を新たに設計・製作してロボットに実装した.プロトタイプ1号機を用いて,水平面内で横うねり移動により移動する実験,また,障害物を接触させて反射的な側抑制動作を行う実験を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度において,シミュレーションで確認したヘビ型ロボットの障害物利用推進は,全部で20節からなるヘビ型ロボットで実現されている.推進アルゴリズムの検討や推進効率をシミュレーションで確認できたため,今後は実機にて同様の実験を行い,提案手法の有効性を確認していく予定である. 平成25年度に設計・製作したプロトタイプ1号機は3リンクで構成され,リンクの下部には受動車輪を装備し,また,その両サイドに新規に開発した接触センサが配置されている.これにより,従来のヘビ型ロボットの横うねり推進や,接触センサに障害物を接触させた場合のヘビ型ロボットの反射行動について基本的な実験が行われたが,障害物を利用してロボットが推進するには至っていない. そこで,プロトタイプ1号機の設計・製作で得られた知見をベースとして,プロトタイプ2号機を製作する予定である.プロトタイプ2号機では,なるべくリンク数を多くして,シミュレーションで確認された障害物利用推進の効果を再現できるようにする.また,プロトタイプ1号機においては,関節のメカニズムとして,磁性流体を用いて粘性を変化できるようにした関節を開発してロボットに実装したが,粘性だけでなく,弾性を変化できるようなメカニズムを組み込んだ関節を今度導入する予定である. 実験に際しては,任意の間隔で障害物を配置できる実験環境を構築し,プロトタイプ2号機を用いた実験を通して得られる各種データを解析し,提案する障害物利用推進の有効性を確認する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において,プロトタイプ1号機の設計・製作は,ヘビ型ロボットとして最低限必要な3リンクのみを構築し,余計なコストをかけなかった.また,接触センサは市販のものを購入するのではなく,研究室で新たに設計製作したため,当初予定していたより費用がかからなかった. 平成26年度において,プロトタイプ2号機の設計・製作を行うが,シミュレーションと同様に20リンクを作成するとなると,プロトタイプ1号機にくらべて単純に6倍程度のコストがかかる.繰り越した予算と今年度の予算を合わしても予算が不足する見込みであるので,試作2号機の開発費に繰り越した予算を充当して,なるべくたくさんのリンクを製作する予定である.
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Research Products
(1 results)