2013 Fiscal Year Research-status Report
圧粉磁芯モータの低損失・高出力磁気回路実現のための創発的位相最適化手法の開発
Project/Area Number |
25820099
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
岡本 吉史 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40415112)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | トポロジー最適化 / 計算電磁気学 / 感度解析 / 並列アルゴリズム / 電気機器工学 |
Research Abstract |
平成25年度の研究実施内容 (1)内部埋め込み式永久磁石同期モータの回転子設計(空気 or 鉄芯:二値離散最適化問題)における多段式確率論的位相最適化手法の性能評価を実施した.その結果,遺伝的アルゴリズムの効率が最も高い結果が得られた.また,電流位相角も設計変数に付加した状態でも遺伝的アルゴリズムの性能が最も高く,フラックスバリア内部に突起状磁極を持つ実用解が得られた. (2)複数の磁性材料で構成される磁気回路設計問題に対する最適化については,現状では成功したとは言えない状態である.設計変数の大規模化に伴う解空間の複雑化に伴い,合理的な解が得られない.遺伝的アルゴリズムでは,乱数に基づく探索であるため,手法の性能限界とも考えられる.それゆえ,本年度終盤から目的関数の一階偏導関数(感度)を使用した最適化手法への変更を行う予定である.早速ではあるが,一回の有限要素法とほぼ同等な計算コストで感度解析を行える随伴変数法による高速感度解析を実装することに成功した.これは,磁気特性が非線形の状態でも勾配計算を実施できるため,圧粉磁芯の磁気特性を適用した位相最適化を実行できる可能性がある.C型鉄芯や磁気シールド等のテスト問題において,逐次線形計画法に基づく材料密度ベースの最適化を実施し,三次元問題に対するロバスト性とその有用性を検討した. (3)位相最適化は,与えられた位相(トポロジ)に対して,有限要素解析を実施する必要がある.それゆえ,有限要素法の高速化は,実用的な計算時間内に位相最適化問題を求解するために必須の項目である.本年度では,前処理付き MRTR 法に Reverse Cuthill McKee オーダリングを適用し,ブロック化前処理による並列化線形解法を実装した.集中メモリ型PCで4倍弱の高速化を達成できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初期待していた進化型アルゴリズムの複数材料構造最適化に対する性能が劣悪だった.そこで,最適化解法を感度解析ベースのものにシフトした.二値問題ではあるが,三次元最適化問題に対して,進化型アルゴリズムのものより,かなり良好な性能を発揮することが分かった.
|
Strategy for Future Research Activity |
感度解析に基づく数理計画法のうち,最適性基準法,逐次凸関数近似法等の性能を評価することで,電気モータの構造最適化問題に対して最も性能が高い手法を見極める必要がある.その後,二値問題で圧粉磁芯モータの最適化を実施し,マルチマテリアル位相最適化手法を実装することで,モータの構造最適化問題を求解する予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,Intel Parallel Studio XE 2013 を購入予定であったが,Intel XEON Phi の性能を吟味する前に,GPU の性能評価がコストパフォーマンスの観点から重要だと認識した.それゆえ,Intel XEON Phi を動作させるソフトウェア Intel Parallel Studio XE 2013 の購入を見送ったことが原因である. 本年度の余剰分は,これまでと同様に計算速度を向上させるためのハードウェア購入のために使用する予定である.
|