2014 Fiscal Year Research-status Report
圧粉磁芯モータの低損失・高出力磁気回路実現のための創発的位相最適化手法の開発
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25820099
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
岡本 吉史 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40415112)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トポロジー最適化 / 高速大規模電磁界解析 / 感度解析 / 随伴変数法 / 逐次線形計画法 / レベルセット関数 / 電気機器工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 従来から用いていた遺伝的アルゴリズムを使用した場合,収束解の材質分布の散在が発生した.そこで,随伴変数法に基づく目的関数の一階微分係数を使用した逐次線形計画法を導入した.本手法は,目的関数の一次導関数のみを用いているため,収束過程において,目的関数が振動するケースがある.そこで,振動を除去するため,目的関数をムーブリミットに対して二次近似する収束安定化手法を提案し,種々の最適化モデルでその有用性を明らかにした. (2) (1)の方法では,各要素に材料密度(無次元量)を定義し,それを設計変数とした最適化計算を行っていた.しかし,隣接する要素との連続性は零次となるため,収束解には,所々に材料要素が散在する傾向にあった(遺伝的アルゴリズムの収束解よりも散在の度合いは低い).そこで,レベルセット関数を援用し,物体境界のみ(レベルセット関数の零等位面)を設計パラメータとしたトポロジー最適化手法を開発した.その結果,磁気特性が線形,あるいは非線形としても,有限要素に配備した材料要素の散在はなく,要素単位で変数を指定した手法よりも実用性の高い解を得ることに成功した. (3) トポロジー最適化問題を求解する場合,数千回の有限要素法弱形式(線形方程式)を求解する必要がある.それゆえ,合理的な計算時間で最適化を終了させるためにも,線形方程式の高速求解を実行することは重要である.本研究では,Reverse Cuthill McKee法から得られるレベル構造を使用し,並列性能の高いオーダリング技術を開発することに成功し,6並列で6.7倍以上の高速化を達成するに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レベルセット法の導入により,収束解における材料要素の散在がほぼ解決された.これによって,実際の回転機への適用に大きく前進することとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
レベルセット関数を用いた現況の方法では,目的関数の一次導関数,すなわち,最急降下方向に沿った探索である.さらなる収束特性改善を見込める Method of Moving Asymptotes (MMA)を導入し,手法の改善に努める.然る後に,モータの三次元トポロジー最適化を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
昨年度中に,申請書に記述した Intel XEON Phi を購入予定であった.しかし,XEON Phi よりも,GPU の性能が勝っているとの研究が数多く報告されていた.我々は,CUDA のような特殊言語を使用せず,GPU よりも高速なアーキテクチャとして Phi を期待していたが,そこまでの要請にはマッチしていなかったようである.それゆえ,PCクラスタの新規購入が,実利面から妥当と判断し,現在,PCクラスタの予算を見積もっている段階である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由により,PCクラスタの予算見積もりを終了した段階で,剰余した予算を使用させて頂く.なお,コストを極力カットするため,PCを部品単位で購入して,自作PCクラスタを構築する予定である.
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