2013 Fiscal Year Research-status Report
DCリンクを持たない電磁誘導方式非接触給電用高効率AC-DC電力変換器の開発
Project/Area Number |
25820103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三島 智和 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (40370019)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 半導体電力変換 / パワーエレクトロニクス / 電磁誘導 / 非接触給電 / AC-DC変換 / AC-AC変換 / ソフトスイッチング |
Research Abstract |
電気自動車用バッテリ充電器などエコモビリティへの応用が期待される電磁誘導方式比接触給電システムへの展開を狙い,高効率かつコストパフォーマンスに優れる新電力変換回路方式の開発とその実証評価を目的とする。特に従来,電源装置の小型・軽量化,高効率化を阻害する物として指摘されている直流(DC)リンク部を持たない回路トポロジーを提案し,その有用性の基礎検討を実施した。今年度は,そのうち単相商用周波交流(UHAC)から高周波交流(HFAC)へ直接変換するシングルステージHFAC-HFACコンバータを開発した。DCリンク方式で不可欠であったダイオード全波整流回路が除去でき,大電流導通素子数を3つから常時2つへと低減できることになる。加えて,単相200VACを昇圧することができる。この結果,従来回路方式と比較してより高出力化に対応しやすくなり,商用電源の高調波を抑制した品質のよい電源装置を実現することが期待できる。さらに,高速にオン・オフを繰り返すパワー半導体スイッチをゼロ電圧ソフトスイッチングにより動作するため,低損失かつ電磁ノイズレベルを抑えた高性能な電力変換が達成可能となる。定格出力3kW,動作周波数30kHzの仕様をもつ回路を試作し,以下の有用な結果を得た。(1)オン時比率D=0.1~ 0.45の非対称PWMに基づき,0.2kW-3.0kWの広範囲な領域で連続的に高周波電力制御が可能。(2)3.0kWから0.2kWの全領域にて,電源電流の高調波成分が規制値を下回ることを確認。3)高周波インバータ部のローサイドスイッチ及びハイサイドスイッチのオン時比率に応じた脈動DCリンク電圧の昇圧動作を達成。これより,提案UFAC-HFACコンバータのインダクタ・ブースト機能を実証。(4)定格出力3.0kW (100%負荷)から1.0kW (33%負荷)の比較的広い領域にてアクティブスイッチの完全なゼロ電圧ソフトスイッチング動作を達成。出力2.2kWにて95.3%の最高効率を達成。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
狙いとするバッテリ出力すなわちDC出力への電力変換の前段階として,UFAC-HFACの変換部の検証は必須であり,初年度において検討事項として予定していたものである。したがって,上記「実績の概要」で述べるように,特徴的な回路動作と電力変換効率を含む提案回路の優れた特性を実証したことは大きな成果である。 一方,電力制御システムについて,負荷電力の閉ループコントローラの設計とその実証評価に付いては,具体的に検証するにはいたっていない。しかしながら,電力の閉ループコントローラの実現については,本質的に従来の技術で対応可能であり,本研究課題で新規性を追求する項目ではないと考えている。 以上の理由により,今年度の研究取組みについては,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度(25年度)の研究成果を受け,最終年度(26年度)は以下の各項目を順次実施する。 (1)中間に平滑DCリンクを持たず,UFAC-HFAC-DCの電力変換プロセスのうち,後段部のHFAC-DC変換に適する回路方式を考案する。(2)電磁誘導方式非接触給電の送受電コイルの構造設計を行い,実証評価に適用しうる非接触給電コイルを実機製作する。(3)UFAC-HFAC-DC 変換回路を一体として実験を行い,電力伝送効率など電磁誘導方式非接触給電装置としての性能を詳細に実証評価する(4)動作周波数100kHz~200kHzを実現するため,SiC-MOSFETさらにはGaNトランジスタなどのワイドバンドギャップ/高周波パワーデバイスを適用し,提案回路におけるその適用効果を検証する。(5)DCリンクをもつ非接触給電装置に対するメリット/デメリットを,理論的考察および実証データをもとに行い,実用的観点から本課題で提案するダイレクト方式回路トポロジーの有効性を総括する。 実証評価に当たっては,(1)ギャップ長変化に対する電力伝送効率の変動特性,(2)バッテリモード:定電流・定電圧モードに応じた出力インピーダンス変動に対する回路定常特性の解析,(3)パワー半導体アクティブスイッチのゼロ電圧スイッチング,ダイオード・パッシブスイッチのゼロ電流ソフトスイッチング動作の検証,(4)共振タンク回路の配置構造による非接触給電電力伝送性能の変化,および提案回路に対する適合性の評価,などを検証項目として挙げる。 得られた研究成果については,順次国内外の学会・研究会・セミナーなどので公表するとともに,学術論文誌へ積極的に投稿する。さらに,大学担当機関を通じて産学連携への発展化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題のうち,次年度で取組む実証評価項目がある。そのための研究費である直接経費(消耗品,学会参加費等)が必要である。 直接経費として,(1)実験器具のメンテナンス費用,(2)パワー半導体スイッチなど電子部品購入,(3)研究成果公表のための学会参加費,および旅費,(4)研究成果の公表のため,学術論文投稿・掲載費などを予定している。
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Research Products
(1 results)