2013 Fiscal Year Research-status Report
実用超伝導電力機器に必須の運転監視と診断に関する基礎研究
Project/Area Number |
25820106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川越 明史 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40315396)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超電導電力機器 / 監視 / クエンチ / 診断 / 交流損失 / 超電導変圧器 |
Research Abstract |
本研究では,高温超伝導コイルで生じる局所的な異常を,安全で簡便に測定できる画期的な新異常測定法(電磁エネルギーフロー観測法)を応用し,高温超伝導コイルや高温超伝導電力機器の健全性を常時監視できる新モニタリングシステムの開発を目指している。この異常測定法は,局所的な電界と磁界を測定する2種類のピックアップコイルを用いる研究代表者が提案する独自の測定法である。本研究の目的は,本測定法で観測される信号と実際の巻線状態との関係を実験と理論の両面から明らかにし,本システムの基礎を確立することである。平成25年度は,1ターンコイルサンプルの測定を重点的に行った。その結果は以下の通りである。 ・ 1ターンサンプルコイルの異常測定実験装置の作製を完了した。本装置は,外部磁界印加マグネットと1ターンのサンプルコイルから構成され,マグネットの保冷容器外側にピックアップコイル対を設置した構造である。 ・ 本実験装置を用いて,ツイストなしBi-2223多芯テープ線材の局所異常を発生させた時の測定を行った。その結果,異常発生時のエネルギーフローの変化を観測することができた。 ・ 1ターンサンプルコイルの交流損失測定を行うための測定方法の開発を進めた。異常時の信号と異常の程度の関係を明らかにするために,1ターンサンプルコイル周辺の電磁エネルギーフロー(ポインチングベクトル)を正確に測定する測定法を開発し,正確に測定できることを実験的に確かめた。 ・ 種々のサンプル形状のポインチングベクトル分布の測定も行い,データの取得を行った。 ・ Bi-2223多芯テープ線を用いた高温超伝導変圧器を試作し,その局所異常検出試験を行い,負荷変動時でも異常を測定できることを確かめた。また常伝導転移する「重故障」時に測定信号がほとんど観測されなくなるという現象が,高温超電導変圧器でも観測されることを示すデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたもっとも大きな部分であった,1ターンサンプルコイルの異常測定実験装置の開発は完了した。その装置を使った実験を開始することができており,その結果もほぼ予測に近いものであった。サンプルの種類を変えて測定する実験は未実施であるものの,順次実施することができると考えている。 また,高温超伝導変圧器の異常観測実験では,温度計の不具合があったものの,予測通りの結果が得られており,順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に開発した実験装置を用いて,複数のサンプルの測定を進めるとともに,単層の複数ターンのコイルの測定も行い,1ターンコイルサンプルとの比較を行う。 1ターンコイルの実験結果の理論的な評価が行えるように,数値解析コードの開発を進める。 これらの実験と解析結果を用いて,常伝導転移に到達しない程度の異常「軽故障」の診断が可能な手法の確立を目指していく。 高温超伝導変圧器の温度測定の精度を上げ,詳細な測定ができるようにするとともに,開発する数値解析コードを用いた評価を行う。その結果をまとめて,上記の「軽故障」診断法が,高温超伝導変圧器でも適用可能なように改良する。
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Research Products
(8 results)