2014 Fiscal Year Annual Research Report
帯電した人体等を遠ざけたときに起こる電子機器の誤動作の解明
Project/Area Number |
25820107
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
市川 紀充 工学院大学, 工学部, 准教授 (60415833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 静電誘導電圧 / 金属筐体 / 帯電物体の移動 / 静電誘導 / 電子機器の誤動作や故障 |
Outline of Annual Research Achievements |
静電気や放電は、複写機や集塵機などの多分野で応用されているが、ペースメーカやパソコンなどの電子機器の誤動作の原因となる。静電気や放電が原因で起こるペースメーカの誤動作は、時として人命を奪う重大な問題になりうる。この種の電子機器の誤動作に関する問題は、エアコンの使用による室内の低湿度化とマイクロエレクトロニクス化により今後もますます無視できない問題のため、その問題を早急に解決することが求められている。 本研究は、帯電した人体がパソコンなどの電子機器から遠ざかることで起こる電子機器の誤動作の問題を定量的に解決し、誤動作の起こりにくい信頼性の高い電子機器の設計に指針を与えることを目的として実施した。 最終年度の研究では、帯電した物体を金属筐体から遠ざけたときに金属筐体内に生じる誘導電圧を明らかにし、電子機器の誤動作を防止できる機器設計に指針を与えることを目的として実施した。実験では、金属筐体内に導体を配置して非接触型誘導電圧測定法を用いて誘導電圧を測定した。本研究では、金属筐体内に生じる誘導電圧を測定するために、申請者らがこれまでに提案してきた高電圧の分野で電圧測定に使用される球ギャップ(二つの球電極間からなる電圧測定器)と電磁波センサを用いた非接触型誘導電圧測定器を使用して実験・数値計算を行った。金属筐体内に生じる誘導電圧の実験・数値計算の結果、金属筐体内には帯電物体の電圧に対して、-0.9%~-42%の大きさの誘導電圧が生じることを明らかにした。また帯電物体が金属筐体から遠ざかると、その金属筐体には帯電物体の電圧の約-3倍の誘導電圧が生じることを明らかにした。このように金属筐体に生じる誘導電圧は、帯電物体の電圧よりも相当大きくなる可能性があることも明らかにした。本研究の成果は、信頼性の高い電子機器の設計に役立つと思われる。
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