2013 Fiscal Year Research-status Report
固体高分子形燃料電池用インテリジェントパワーコンバータの開発
Project/Area Number |
25820109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
片山 昇 東京理科大学, 理工学部, 助教 (00609373)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / パワーコンバーター |
Research Abstract |
本研究の目的は固体高分子形燃料電池(PEMFC)用の劣化低減と診断を行うためのパワーコンバータの開発である。これまで我々は,PEMFCに電気二重層キャパシタ(EDLC)を組み合わせることで,PEMFCの長寿命化を実現し,またPEMFCの電気化学診断を可能にしている。本研究ではこれを更に発展させ次の目的を達成することである。(a)PEMFCを劣化する負荷変動を明確にし,より適切なパワーマネジメントを実現する。(b)PEMFCの診断情報から補機を制御し出力・安定性を向上させる。 平成25年度は,まず(a)に関して前段階としてPEMFCの劣化速度を推定するためのシミュレーションの開発を進めた。PEMFCの触媒層と電解質膜の一次元シミュレーションを構築し,負荷変動時の電位分布の過渡的な変化を計算することに成功した。これまでの数値シミュレーションではPEMFCが劣化しはじめる電位が実験とシミュレーションで異なっていたが,電解質膜内のイオン移動の遅れを考慮することにより,これらが一致させることができた。この成果により,PEMFCの負荷変動と劣化の関係をより正確に推定することができる。 また,PEMFCとEDLCのパワーマネジメントについてはEDLCの電圧値に長時間周期のLPFを適用した値をベースにPEMFCの電圧目標値を決定することでPEMFCの劣化が顕著な周波数の負荷変動を避けられることを明らかにした。 さらに,(b)に関しては我々が過去に開発したパワーコンバータによるPEMFCの交流インピーダンス診断技術の精度向上を検討した。回路定数や制御プログラム,PEMFCへ印加する交流信号の最適化などにより,より正確な測定と測定する周波数帯の拡大を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パワーコンバータによるPEMFCの診断の精度向上に計画よりも時間がかかってしまったため,補機類の制御は完了していない。その他については計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は開発したPEMFCの劣化を推定するシミュレーションにより,PEMFCが顕著に劣化する条件(例えば運転電圧や変動幅や周波数)を明らかにし,PEMFCの劣化を最小限にするための制御手法を確立する。制御については,まずは数値シミュレーションにて検討し,必要なEDLCの容量等についての見積等を行う。 次に,平成25年度に未完了であった補機類の制御についても実現する。具体的にはPEM水分量をパワーコンバータから得られた交流インピーダンス特性から推定し,これらを空気供給系と温度調節器へフィードバックする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
改良したパワーコンバータの試作が予定より順調に進み,購入する消耗品が最小限で済んだことと,一部未完了の課題があったためその分の費用に余剰が生じたことから,未使用額が生じた。 PEMFCの劣化を最小限にするためのパワーコンバータの制御手法を確立することと,補機類の制御を実現するために,実機検討を行うための電子部品類,PEMFCの動作に必要な消耗品,制御用のPCなどの購入をする。
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