2013 Fiscal Year Research-status Report
少数個のスイッチで複数の低リプル出力を供給可能な太陽電池用部分影補償器の開発
Project/Area Number |
25820118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
鵜野 将年 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 研究員 (70443281)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 部分影 / バランサ / 低リプル電流 |
Research Abstract |
複数の太陽電池(PV)モジュールを直列に接続して使用する場合、一部のモジュールに影がかかる「部分影」の影響により各モジュール特性に不均衡が生じ、利用可能な電力が大幅に低下してしまう。本研究では高信頼性、複数の低リプル電流出力、高効率を同時に実現可能な部分影補償器(PVバランサ)の開発を行うことを目的とする。本年度は主に①一石式昇降圧コンバータ多段接続方式、②二石式LLC共振形多段倍電圧整流回路方式、の2種類の回路方式を基礎としたバランサを対象に詳細解析ならびに検証実験を実施した。 ①の昇降圧コンバータ多段接続方式は一石式、即ちスイッチ数が1つのみのため非常に簡素な回路構成を実現可能な反面、ハードスイッチング動作のため電力変換効率は約90%程度であった。また、バランサから日照モジュール(影なしのモジュール)に供給される補償電流を微小値に抑えることにより補償電力を最低限に抑える制御手法を提案し、その有効性を確認した。この制御手法ではモジュール数と同数の電流センサが必要となるため、次年度では電流センサを必要としない制御手法の開発を行う予定である。 ②のLLC共振形倍電圧回路方式は一つの磁性素子で構成可能であり、且つ、オープンループ制御が可能なため小型かつ簡素な回路を同時に実現可能な方式である。この方式は全てのスイッチングがソフトスイッチングで行われるため、ピークの変換効率は約95%と比較的高い値をしめした。更に、実用化時を想定したシステム検討を行った結果、汎用的なPWMコンバータ等におけるスイッチ素子(ダイオードを含む)を共通部品としてPVバランサを統合可能であることが分かった。この方式ではスイッチ数の増加や制御ループの追加を伴うことなくコンバータとPVバランサの2つのコンポーネントを1つに統合することが可能となるため、回路レベルのみならずシステムレベルでの簡素化が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動作解析ならびに実験による各方式の比較、更に制御手法の開発等含めて当初の予定通り研究は進行している。また、②のLLC共振形倍電圧回路方式について、PWMコンバータとの統合化に関する動作解析ならびに実験も実施し、当初に予定していた以上の成果が得られていると考えている。反面、低リプル電流化に関する解析や実験は進んでいないため、来年度に注力して行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した2つの方式を基に低リプル電流化を実現させる回路を付加していく予定である。具体的には①の昇降圧コンバータ多段接続方式に対しては、「多段接続カレントダブラ」を採用し、②のLLC共振形倍電圧回路方式については対称形倍電圧整流回路を用いる。基本的な動作原理は初年度に開発した方式と類似ではあるが、素子数の増加に伴う回路構成の複雑化や電力変換効率の低下に関する懸念を考慮しつつ研究を進めていく。 また、PWMコンバータとPVバランサの統合化に関する研究を更に推進していく予定である。具体的にはコンバータやPVバランサの個別の特性を可能な限り損なうことなく統合可能な動作条件を明確にしてゆく。また、初年度ではスイッチ素子(ダイオードを含む)を共通部品としてコンバータとPVバランサの統合化を行ったが、今後は回路の更なる小型化・低コスト化を目指して磁性素子(インダクタ)を共通部品とした統合化に関する検討ならびに検証実験を実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数として残金が生じた。 物品費購入に割り当てる。
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Research Products
(10 results)